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アフィン接続[あふぃんせつぞく]
数学の一分野である微分幾何学において、アフィン接続(affine connection)は、滑らかな多様体を幾何学的対象としている。そこでは、近くの接空間どうしを接続し、あたかも固定されたベクトル空間に値を持つ多様体上の函数であるかのように、接ベクトル場を微分とみなす。アフィン接続の考え方は、19世紀の幾何学とテンソル解析に起源を持つ。エリ・カルタン(Élie Cartan)(という一般理論の一部として)とヘルマン・ワイル(Hermann Weyl)(一般相対論の基礎付けの一部として)により研究された1920年代に、アフィン接続は完全に開発された。用語は、カルタンによるもので、ある変換によりユークリッド空間 R''n'' の中で接空間どうしを同一視することに起源を持つ。アフィン接続を選択すると、無限小では多様体を滑らかではないがアフィン空間のようにユークリッド空間を見ることができるというアイデアである。 滑らかな多様体上には無限個のアフィン接続が存在する。さらに多様体がリーマン計量を持つと、アフィン接続を自然に選択することができ、この接続をレヴィ・チヴィタ接続と呼ぶ。アフィン接続を選択することは、(接)ベクトル場を規定することと同値であり、合理的な性質(線型性やライプニッツ則)を満たす。このことは、接バンドル上の共変微分や(線型)接続として、アフィン接続が妥当な定義であることを意味する。アフィン接続の選択は、曲線に沿って変換する接ベクトルを意味するの考え方と同値でもある。このことはまた、上の平行性を持つ変換を定義する。標構バンドル上の無限小平行移動は、アフィン接続、アフィン群の、あるいは、標構バンドル上の接続の別の記述であることをも意味する。 アフィン接続の主な不変量は、捩れと曲率である。捩れはどのようにして、ベクトル場のリーブラケットがアフィン接続から再現可能かを測る。アフィン接続は、多様体の(アフィン)測地線を定義することに使われる。ここで使われる直線の幾何学である測地線は、通常のユークリッド幾何学からは非常に異なるにもかかわらず、ユークリッド空間の直線の一般化となっている。直線と測地線との違いは、測地線が接続の曲率の中に全ての情報をカプセル化していることである。
==動機と歴史==
滑らかな多様体は、局所的にユークリッド空間 R''n'' の滑らかな変形に見える数学的な対象である。たとえば、滑らかな曲線や曲面は、局所的には直線や平面の滑らかな変形に見える。滑らかな函数とベクトル場は、まさにユークリッド空間上であるかのように多様体を定義することができ、多様体上のスカラー函数は、自然な方法で微分することが可能である。ユークリッド空間上ではベクトル場の微分は単純な問題であるが、一般の滑らかな多様体上でのベクトル場の微分はストレートには定義できない。点 ''p'' で基底となる接ベクトル空間は、自然に近くの点 ''q'' での接ベクトル空間と(変換により)自然に同一視することができる。一般に、多様体上では近くの接空間の間にそのような自然な同一視は存在しないので、近接する点での接空間を well-defined な方法で比較することはできない。アフィン接続の考えは、近くの接空間を「接続する」ことにより、この問題を修正することで導入された。このアイデアの起源は、2つの源へと遡ることができる、とテンソル解析である。
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