|
アフリカ睡眠病(アフリカすいみんびょう、sleeping sickness)は、ツェツェバエが媒介する寄生性原虫トリパノソーマによって引き起こされる人獣共通感染症である。病状が進行すると睡眠周期が乱れ朦朧とした状態になり、さらには昏睡して死に至る疾患であり、これが名前の由来となっている。アフリカのサハラ以南36か国6千万人の居住する領域における風土病で、感染者は5万人から7万人と推計されている〔WHO Media centre(2006)〕。催眠病、眠り病、アフリカトリパノソーマ症とも呼ばれる。 == 病原体 == アフリカ睡眠病の病原体はツェツェバエが媒介するトリパノソーマという原虫である。分類学的にはブルーストリパノソーマ (''Trypanosoma brucei'') という種であるが、このうち2つの亜種がヒトにアフリカ睡眠病を引き起こす。亜種の違いにより病状に差が出るほか、媒介するツェツェバエにも差があるため地理的分布に差がある。 ; ガンビアトリパノソーマ (''T. b. gambiense'') : 主にアフリカの中央部・西部(ヴィクトリア湖より西)に分布しており、主な保虫宿主はヒトであるがブタやその他の動物からも見出される。水辺に多い''Glossina palpalis''グループが媒介する。発症するまでに数か月から数年にわたる慢性的な経過をたどり、その時点ですでに中枢神経が冒されている事が多い。報告される症例の9割方はこの原虫によるものである。 ; ローデシアトリパノソーマ (''T. b. rhodesiense'') : アフリカ南部・東部(ビクトリア湖より東)に分布しており、狩猟動物や家畜が主な保虫宿主である。サバンナに多い''Glossina morsitans''グループが媒介する。数週間で発症し急性的な経過をたどる。 なお中南米でシャーガス病を引き起こすのはクルーズトリパノソーマ (''Trypanosoma cruzi'') という別種であり、同じトリパノソーマ属の原虫であるが性状にかなりの差がある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アフリカ睡眠病」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|