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アルタイ諸語(アルタイしょご、)は、比較言語学上たがいに関係が深いとされる言語のグループのひとつ。 北東アジアから中央アジア、アナトリアから東欧にかけての広い範囲で話されている〔(Georg et al. 1999:73-74).〕諸言語である。 これらの諸言語間の共通性は、たとえばインド・ヨーロッパ語族のように定論が確立している語族と比較すると極めて小さいと言わざるを得ない。そこで、多少存在する類似性は言語接触の結果であり、アルタイ諸語にはそもそも言語的親戚関係は存在しないとする見解と、これらの言語は一つの祖語をもつアルタイ語族というグループを構成するとする見解が対立しており、仮にアルタイ語族という説が成立するとしても、具体的にどの言語をアルタイ語族に含めるかに関して様々な見解が存在する。 「アルタイ諸語」の名は、中央アジアのアルタイ山脈にちなみ命名されたもの〔(Turks, Kalmyks).〕。 ==構成言語と共通特徴== アルタイ諸語であることが確実とされる言語グループには以下の3つがある。 これらそれぞれの中での系統関係は実証されているが、これらの間の系統関係については決着を見てはいない。 *テュルク語族(アルタイ語、トルコ語、ウズベク語、カザフ語、トゥバ語など) *モンゴル語族(モンゴル語、オイラート語、ブリヤート語など) *ツングース語族(エヴェンキ語、満州語など) これらの言語グループにはいくつかの重要な共通の特徴が見られる。 *母音調和を行う *膠着語である *原則としてSOV型(主語 - 目的語 - 述語)の語順をとる〔ただし、隣接する国・地域同士の言語は語族に関係なく語順が似てしまうことがある。また、SOV型は世界的に最も多く見られる語順である(言語類型論#語順)。〕 *語頭にRが立つことを嫌い、固有語に語頭Rの単語をほとんど持たない などの諸点である。 加えて、日本語族(日本語、琉球語)と朝鮮語族(朝鮮語、済州語)の2つもアルタイ諸語に含めることがある。しかし、最近の研究では疑わしくなってきたとされている。 チュルク語族、モンゴル語族、ツングース語族のみの括りを「ミクロ・アルタイ」(Micro-Altaic)、日本語族、朝鮮語族を加えた括りを「マクロ・アルタイ」(Macro-Altaic)という。「アルタイ語族」の支持者のほとんどは、日本語族、朝鮮語族を含めることを支持している〔Stratification in the peopling of China: how far does the linguistic evidence match genetics and archaeology? In; Sanchez-Mazas, Blench, Ross, Lin & Pejros eds. Human migrations in continental East Asia and Taiwan: genetic, linguistic and archaeological evidence. 2008. Taylor & Francis.〕。 上記特徴のうち母音調和だけは日本語と朝鮮語が欠いているものだが、朝鮮語については過去に明らかな母音調和があった(中期朝鮮語)ことが知られている。 また、日本語についても、過去に母音調和を行っていた痕跡が見られるとする主張もある(上代特殊仮名遣)〔金田一京助による身体語に関する考察などがよく知られている。詳細は母音調和#日本語における母音調和を参照。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アルタイ諸語」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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