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アントラセン : ウィキペディア日本語版
アントラセン

アントラセン (anthracene) は、分子式 C14H10分子量 178.23 の有機化合物の一種で、ベンゼン環が3個縮合したアセン系多環芳香族炭化水素融点は 218 ℃、沸点は 342 ℃ で、昇華性がある。CAS登録番号。1832年、ジャン=バティスト・デュマによって発見された。
工業的にはコールタールから分離精製することで生産されており、アントラキノン還元テトラブロモベンゼンベンゼンの縮合反応によって合成することもできる〔。木材保存剤に用いられるアントラセン油やクレオソート油に含まれており、殺虫剤ガソリンの安定剤などに用いられる〔。三重項の増感剤または消光剤として用いられることがある。また赤い色素であるアリザリンの原料ともなっている〔。無色の固体であるが、紫外線を照射すると青い蛍光を発する。また、シンチレーション材料(シンチレータ)として用いられることがある。
ベンゼン環が折れ曲がって縮合した異性体であるフェナントレンの方が生成エンタルピーが大きく、いわゆる安定な化合物である。
== 反応 ==
アントラセンは光反応性を持ち、紫外線により光二量化反応を起こす。
:
この二量体は 環化反応の結果、2つの共有結合により繋がっている。この二量体を加熱するか、300nm以下の波長の紫外線を照射すれば、単量体へと戻すことができる。この可逆的な結合とフォトクロミックの性質が、様々なアントラセン誘導体の応用の基礎となっている。この反応は酸素に敏感である。
中央の環の反応性が高く、芳香族求電子置換反応は主に9,10位で起こる。また、容易に酸化されてアントラキノン (C14H8O2) を生成する。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「アントラセン」の詳細全文を読む



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