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アーク溶接(アークようせつ、英語:arc welding)とは溶接方法の一つで、空気(気体)中の放電現象(アーク放電)を利用し、同じ金属同士をつなぎ合わせる溶接法。母材と電極(溶接棒、溶接ワイヤ、TIGトーチなど)の間に発生させたアークによってもたらされる高熱で母材および溶加材(溶接ワイヤ、溶接棒)を溶融させて分子原子レベルで融合一体化する接合法であり接着とはまったく違う。電気溶接とも言われることもあるが、これには抵抗溶接も含まれる。 アーク溶接の用途は広く、自動車、列車、船舶、航空機、建築物、建設機械など、あらゆる金属構造物にごく一般的に使われていると思ってよい。母材は鉄鋼が多いが、アルミやチタンなどほかの金属にも普通に利用される。 == 特徴と種類 == * 被覆アーク溶接 * 半自動アーク溶接 * ガスシールドアーク溶接 * ティグ溶接(tungsten inert gas welding) * ミグ溶接(metal inert gas welding) * マグ溶接(metal active gas welding) * 炭酸ガスアーク溶接 * サブマージアーク溶接 * イナートガスアーク溶接 * プラズマアーク溶接 * タンデムアーク溶接 材料によっては高熱に曝されると性質が変化したり、劣化する恐れがあるので、溶接を行う際は、JIS規格に規定された耐久性が得られるか検討する必要がある。また、アーク溶接を行う際は労働安全衛生法第59条3項「アーク溶接」による特別教育を修了する必要がある。 被覆アーク溶接で使用する溶接棒は、芯線より発生したアークを、被覆材から発生したガスでシールドし、大気中の窒素や酸素が溶接部に混入するのを防止している。この他、被覆材の成分は、溶接金属の脱酸精錬や、スラグになってビード形状の成型などの働きをする。被覆アーク溶接は手溶接、手棒溶接と言うことがある。被覆アーク溶接での進行方向は、右利きなら左から右へ、左利きなら右から左へ、いずれの場合も進行方向に対して5度から10度傾けて傾けた方向に進む。 連続的にワイヤやガスを供給する溶接を手棒溶接に対する意味で半自動溶接と言う。被覆アーク溶接とほぼ同じ用途の溶接として半自動アーク溶接がある。被覆アーク溶接(しばしば手棒溶接ともいう)はいわゆる溶接棒を溶接材として使うが、溶接棒は比較的短いためしばしば短くなった溶接棒を交換する必要があり、大量に溶接を行うには必ずしも適していなかった。このため開発されたのが溶接材として非常に長いワイヤーを使う半自動アーク溶接である。半自動溶接はガスシールドアーク溶接なので風に弱く、屋外では使用しにくい。おもに工場内で使われる。 ティグ溶接、ミグ溶接、マグ溶接、炭酸ガスアーク溶接では、電極(溶接ワイヤ)から発生させたアークを、アルゴンや炭酸ガス等のガスで覆い、アークの安定、溶融金属中に大気が混入しないようにする目的がある。この為に使用されるガスをシールドガスと称する。ミグ溶接、マグ溶接、炭酸ガスアーク溶接は溶接ワイヤやシールドガスの連続供給が可能で、溶接の中ではスポット溶接と並び、最も自動化が進んでいる。これらガスシールドアーク溶接では進行方向にノズルを向けて、右利きなら右から左へ、左利きなら左から右へ進む方法を前進法、逆に進行方向と反対にノズルを向けて進む方法を後退法と呼び用途やワーク形状によって使い分けられている。 真っ直ぐ連続してビード(溶接痕の盛り上がり)を置くことを(ビードは置くと表現するのが正しい。英語ではビード・オン・プレート(bead on plate)と呼ぶ)ストレート・ビードと呼び比較的薄い材料に適している。また進行方向に対して振幅を与えつつ進んで置いたビードをウィービング・ビードと呼び多層盛溶接などの比較的厚い板に適している(時折誤記されているが、ウェービング(waving)ではなくウィービング(weaving)が正しい呼称であり、“縫い合わせるように”という意味である。文字通り二つの板を縫い合わせるように進行する)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アーク溶接」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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