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数学におけるアーノルドの猫写像(アーノルドのねこしゃぞう、)は、トーラスからそれ自身へのあるカオス写像で、1960年代に猫の画像を使ってその効果を示したウラジーミル・アーノルドの名にちなむ〔。 商空間 としてのトーラス を考える。アーノルドの猫写像は、次の式で与えられる変換 である: : また同値であるが、行列を使うと次のように表すことも出来る: : すなわち、単位長は正方形の像の幅と等しいものとして、この像は 1 単位上にせん断された後、1 単位右にせん断され、単位正方形の外側にあるものはすべてその内側に来るように戻される。 == 性質 == * Γ は行列式が 1 であるため、可逆であり、その逆行列は整数行列である; * Γ は面積保存である; * Γ は唯一つの双曲型平衡点(正方形の頂点)を持つ。この写像を定義する線型変換は双曲型である。すなわち、固有値は無理数で、一つは(絶対値が)1 より小さく、もう一つは(絶対値が)1 より大きい。したがってそれらはそれぞれ、安定多様体および不安定多様体であるような拡大および縮小固有空間に関連する。行列は対称であるため、それらの固有空間は直交する。固有ベクトルは有理独立な成分を持つため、それらの固有空間はいずれもトーラスを稠密に覆う。アーノルドの猫写像は特に、双曲型トーラス自己同型の有名な一例である。すなわち、絶対値が 1 であるような固有値を持たない、正方ユニモジュラ行列によって与えられるトーラスの自己同型である〔; * 周期軌道を持つ点の集合はそのトーラス上で稠密である。実際、ある点が前周期的であるための必要十分条件は、その座標が有理的であることである; * Γ は位相的に推移可能(topologically transitive)である。すなわち、軌道が稠密であるようなある点が存在する。これは例えば、拡大された固有空間上の任意の点に対して成り立つ; * 周期が ''n'' であるような点の数は実際、|λ1''n'' + λ2''n''−2| である(ただし λ1 および λ2 はその行列の固有値である)。例えばこの級数のはじめのいくつかの項を挙げると、1, 5, 16, 45, 121, 320, 841, 2205 となる。同様の式は、固有値が置き換えられるなら、任意のユニモジュラ双曲型トーラス自己同型に対して成立する; * Γ はな混合(mixing)である; * Γ はで、特に構造安定である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アーノルドの猫写像」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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