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イズン〔『エッダ 古代北欧歌謡集』などで確認した表記。〕()は、北欧神話に登場する女神の一柱。イドゥン〔山室静『北欧の神話 神々と巨人のたたかい』(筑摩書房〈世界の神話 8〉、1982年、ISBN 978-4-480-32908-0)で確認した表記。〕、イズーナ〔『北欧神話』(コラム)で確認した表記。〕とも呼ばれる。『スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第26章によれば、アース神族に永遠の若さを約束する黄金の林檎の管理人で、詩の神ブラギの妻でもある〔『エッダ 古代北欧歌謡集』246頁。〕。 == 概要 == アイルランドの詩人による再話では、青空の様に真っ青な瞳と、晴れやかで優しげな美しい容姿を持っており〔『北欧神話』(コラム)33-34頁。〕、性格は無邪気でお人好しだった〔『北欧神話』(コラム)34-35頁。〕とされている。 『スノッリのエッダ』第二部『詩語法』は次の物語を伝えている。ある日、イズンは、ロキの手引きにより、巨人スィアチ(スカジの父)にリンゴともどもアースガルズの外、巨人たちの国ヨトゥンヘイムへとさらわれてしまう。常若のリンゴを失ったアース神族の神々は老い始めるのだった〔『「詩語法」訳注』1-3頁、『エッダ 古代北欧歌謡集』67頁(「スキールニルの旅」訳注9)・74頁(「ヒュミルの歌」訳注8)。〕。 神々の怒りに触れ、イズンを巨人から取り戻すよう課せられたロキは、フレイヤから借りた鷹の羽衣で鷹に変身し、スィアチの宮殿スリュムヘイムから彼女を見つけ出した。ロキはイズンに対して素早く変身の呪文を唱え、彼女を一個の胡桃に変えてしまい、そのまま爪に挟んで運び去った。スィアチは、鷲に姿を変えて追いかけたが、あと少しのところでアース神たちの用意した鉋屑の火に翼を焼かれて墜落し、神々に倒された〔。ロキの呪文で胡桃にされたイズンは本来の姿に戻してもらい、年老いた神々にリンゴを配った。 『古エッダ』の『ロキの口論』第17節が伝えるところでは、イズンは自分の兄を殺した男を抱いたとされる〔『エッダ 古代北欧歌謡集』82頁。〕。 別の伝承では、イズンがある日ユグドラシルの高い枝から転落してニヴルヘイムへ落下したという。この時のことが『オージンのワタリガラスの呪文歌』にも唄われた。ブラギをはじめ神々が彼女を捜し、ニヴルヘイムで横たわっているのを見つけた。神々は、冷え切った彼女の体を、オージンから預かった白い熊の毛皮で包んだ。イズンは寒さに震えながらもアースガルズへ戻ることを拒んだため、やむなくブラギだけが彼女の傍らに残ったという。この物語について、一部の学者は、イズンの転落は秋の落葉を、白い毛皮は雪を、沈黙し音楽も奏でなくなったブラギは鳥の歌声が聞こえない様子を象徴すると考える。しかし松村武雄はこれを行き過ぎた推察だとしている〔『北欧の神話伝説』222-226頁。〕。 == 脚注 == === 注釈 === 〔 === 出典 === 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「イズン」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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