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イラク原子炉爆撃事件 : ウィキペディア日本語版
イラク原子炉爆撃事件[いらくげんしろばくげきじけん]

イラク原子炉爆撃事件(イラクげんしろばくげきじけん)は、イスラエル空軍機がイラクのタムーズにあった原子力施設を、バビロン作戦(別名オペラ作戦)の作戦名で1981年6月7日に攻撃した武力行使事件である。これはイラクが核兵器を持つ危険性があるとして、イスラエルが「先制的自衛」目的を理由にイラクに先制攻撃を行ったものである。この攻撃に対して〔(7)イスラエル機によるイラク原子炉爆撃に関する国連安全保障理事会決議487(仮訳) 外務省ホームページ〕がなされ、イスラエルは非難された〔。
== イラクの核開発 ==
産油国でありエネルギー資源に不安があるはずもないイラクが原子力開発を行った理由として、イラクは将来の石油資源枯渇を見据えて開発したとしていたが、実際にはイスラエルへの対抗目的で、イラクのフセイン政権は核武装を狙っているという疑いがあった。〔ロジャー・クレイア 『イラク原子炉攻撃!』 高澤 市郎訳、並木書房、2007年、ISBN 4890632158、52-53頁〕
このイスラエルが核兵器を保有していると言う情報をPLOがパレスチナ系アメリカ人の書いた『イスラエルの核爆弾』と言う書籍によりイラク政府に売り込んだ事が、当時のフセイン大統領に核兵器開発を行うきっかけを与えた。〔ロジャー・クレイア 『イラク原子炉攻撃!』 高澤 市郎訳、並木書房、2007年、ISBN 4890632158、37-39頁〕
1960年代始めに、ソビエトから5Mwクラスの原子炉を導入したが、この原子炉にはフセイン大統領が必要としていた兵器グレードのプルトニウムを製造する能力は無かった上、不要な機材を含めたトン当たり幾ら方式の金額算定や、専門知識をもたず作業も行わない窓際族的な人員も含めた給料の請求、原子炉の運用に必要なメンテナンスは行わないといった技術を持たない衛星国相手の不誠実な取引を行った。この時期の具体的な成果の有ったイラク原子力エネルギー機構の仕事と言える物は、フセインの食事に使用される食材の毒味であった。〔ロジャー・クレイア 『イラク原子炉攻撃!』 高澤 市郎訳、並木書房、2007年、ISBN 4890632158、49頁〕
イラクは1970年代から核技術の研究を独自に行なっていたが、原子炉を建設するほどの工業力がなかったため、フランスから核燃料と技術者の提供を受け7万キロワットの原子力発電所を建設していた。
この原子炉(オシリス級原子炉、フランスはオシリスとイラクを合成した「オシラク」の名で呼び、イラクはバアス党が政権を奪取した月の名である「タムーズ1」と呼んだ)は1982年7月に稼動予定であったが、この原子炉を軍事転用して核兵器に必要となる濃縮ウランを生産することも可能であった。そのためイスラエルはイラクが核開発することに非常に強い危機感を持っていた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「イラク原子炉爆撃事件」の詳細全文を読む



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