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インターアーバン(、都市間電気鉄道)は、都市と都市を結ぶ電気鉄道の一体系を指す。数十km程度の都市間を結ぶ路線であり、都市内輸送を中心とする鉄道、数百kmにも及ぶ長距離路線と対比される。北米、日本、西ヨーロッパで普及した。 英語の発音はインタ・アーバンに近く、そこから転じて日本ではインターバンと呼ばれることもある。一部書籍ではドイツ語風のインターバーンという表記も見られるが、英語由来の単語である〔そもそも、Interurban は英語で Inter(~間) urban(都市) であって、ドイツ語の「道」bahn と全く別であるから、インターバーンはドイツ語としては意味をなさない。〕。 == インターアーバンの定義 == 「インターアーバン」はアメリカ合衆国を発祥とする。 19世紀の最後の10年間に、アメリカ合衆国の中西部(オハイオ、インディアナ、ミシガン、イリノイの各州)では、都市間を結ぶ電気鉄道が急速に発達した。こうした鉄道について記述したり、語ったりする場合に、「都市と都市を結ぶ電気鉄道」を意味する語「インターアーバン・エレクトリック・レイルウェイ」を略して「インターアーバン」と呼ぶようになったのがその起源である。 当時のアメリカ合衆国で、都市間を結ぶ電気鉄道には二種類が存在した。 一つは都市と農村を連絡するために建設された路面電車網がお互いに接続することで都市間のネットワークを形成したケースである。この種の路線は主としてニューイングランド地方で発達した。農村地域での短距離移動や農村から町に出る際には簡便で適切な交通機関であったが、都市間(拠点間)移動の分野では所要時間がかかりすぎてあまり実用的な存在ではなかった。 もう一つは、初めから都市間の直結を意図して建設された高速路線である。一般にインターアーバンとはこの後者の種類の鉄道を指す。 当時のアメリカ合衆国で都市間連絡を目的とした電気鉄道は以下のような特徴を持っていた。 # 市街地では併用軌道、郊外では専用軌道を走行する。 # 当初から電気鉄道として建設されたものが中心だが、蒸気機関車で運行されていた既存の路線を電化したものもある。 # 旅客輸送収入を主な収入源としていた。 # 車両はボギー車で、連結運転が行われる事もあった。 # 機関車よりも軽量な電車を運転するよう設計されていたため、軌道は簡便で済んだ。 # 所要時間と運行間隔から、50マイル (80 km) 程度離れた都市間内で最もその能力を発揮した。 # 1890年代から1930年代までに建設された。 # 軌間は914 mm(3フィート)のものが多かった。 上記の特徴を持つ路線をアメリカ合衆国ではインターアーバンと呼ぶことが多い。 7、8を除けば、これらの特徴は福井鉄道福武線、京阪京津線、広島電鉄宮島線・市内線、鹿児島市電谷山線など日本に現存する都市近郊路線にも共通するものがあり、また過去にこれらの特徴を持っていた都市近郊路線も多い。京王線〔甲州街道京王線 〕、東急田園都市線・大井町線〔世田谷線は軌道時代の支線を受け継ぐ〕、京急本線、近鉄奈良線、阪神本線、山陽電気鉄道本線〔山陽電鉄併用軌道区間 〕などがある。 なお、インターアーバンの公式の定義としては、アメリカ合衆国統計局が1902年以降行っていた電気鉄道統計における区分を挙げることができる。アメリカ合衆国統計局は当初、都市間の電気鉄道と郊外の電気鉄道の全てをインターアーバンと定義し、1912年以降は会社規模によって区分をおこなった。こうした定義は、上記のようなイメージとはかけ離れた低規格の路面軌道等を含んでしまうため、路面電車やインターアーバンについての研究を行ったハーバード大学のメーソンやイリノイ大学のデュー、UCLAのヒルトンらは、より実態に即した定義を行っている。それらは上記のような、我々のイメージする定義とほぼ一致するものである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「インターアーバン」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Interurban 」があります。 スポンサード リンク
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