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インプリミトゥーラ (伊:imprimatur)とは、油彩画やテンペラ画を描く際にキャンバスなどの支持体に地塗りを数回行ったあと最後に施される“下塗り”のこと。この時、用いた色が1層目の絵具層になる。15世紀頃に誕生した描法で 、フーベルト・ファン・エイク(Hubert van Eyck, 1370頃〜1426年)とヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck, 1390頃〜1441年)のファン・エイク兄弟や、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio、1488〜1576年)、ピーテル・パウル・ルーベンス (Peter Paul Rubens、1577〜1640年) 等が使用した。 == 歴史・誕生経緯 == インプリミトゥーラは油絵具の誕生後に使用され始めた描法で混合技法の一つである。その目的は下地を有色にすることで、“白色を支持体上に吸収させずに有効に使用すること”、つまり白を“白色”だと解らせるためであった。その創始者は油彩画法を世界で初めて確立した、ファン・エイク兄弟だったとされている〔『ヤン・ファン・エイク《ヘントの際画壇》』初版 ノルベルト・シュタイナー 著 下村耕史 訳〕。 この技法がティツィアーノを始めとするヴェネツィア派の画家達に伝わると、彼らは赤褐色の暗いインプリミトゥーラを施して上層に明るい色を用いるようになった。しかし、赤褐色の絵具の主成分である、 酸化鉄(II)=Fe2O3 (赤褐色)は酸化作用により、 酸化鉄(III)=Fe3O4 (暗褐色)に変化してしまうため、上層の色に変色を起こすことがあった〔西洋絵画の画材と技法 〕。 これを受けてルーベンスは主に灰色(木炭の粉末と鉛白を混合したもの)のインプリミトゥーラを施すことで変色をある程度抑えることに成功した〔『絵画学入門』第四版 クロード・ロラン著 黒江光彦 監修 黒江信子、大原秀之 共訳 美術出版社 1992年7月 ISBN 4568300371〕。現代は使用される色に関係なく、下塗り層を全てインプリミトゥーラ、または単に下塗りと呼んでいる。 また、 15世紀は現代に比べると支持体の質が悪く色を均等に塗るのが困難だったため、これを改善する効果もあった。。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「インプリミトゥーラ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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