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ウェブ付き空間 : ウィキペディア日本語版
ウェブ付き空間[うぇぶつきくうかん]
数学函数解析学におけるウェブ付き空間(ウェブつきくうかん、, )は、バナッハ空間論における二つの主要定理である開写像定理閉グラフ定理超有界型空間に対して一般化して取り扱うための概念で、そのためのものとして1969年に Marc de Wilde が導入した。
その定義は非常に技術的なものだが、位相線型空間の非常に大きなクラスがこの性質を持ち、従って定理の主張を容易に一般化して、その本質を明らかにするものとして、特別の技術を構えることなく応用に供することができる。
ウェブ付き空間は任意の位相線型空間に対して定義することができるが、本項では簡単のため局所凸空間を考えるものとする。任意の位相線型空間に関する一般論は教科書 を参照。
== 定義 ==
局所凸空間 ''E'' 上のウェブ(織布)とは、適当な自然数 ''k'' で添字付けられる自然数の族 (''n''1, ''n''2, …, ''n''''k'') ∈ N''k'' で添え字付けられる ''E'' の部分集合族 C_ で、以下の条件
# 各集合 C_ は空でない絶対凸集合である。
# \bigcup_^ C_ = E.
# \bigcup_^ C_ = C_\qquad(k\in \mathbb,\,(n_1,\ldots,n_k) \in \mathbb^k
# 任意の自然数列 (n_k)_k に対して正実数列 (\lambda_k)_k が存在して、級数 \sum_^\infty \lambda_k x_k は点 x_k \in
C_ の選び方に依らず収斂する。
を満足するものを言う。局所凸位相空間がウェブを持つとき、その空間はウェブ付きである(ウェブ付けられている)、またはウェブ付き空間であると言う。
イメージで言えば、各階層に属する集合 C_ は ''k'' を増やすことによって、それ自身を張るより目の細かい階層のウェブに分解されていくという風に捉えることができ、そのことがウェブ(織布)という名称の由来でもある。
言葉で書けば、局所凸ハウスドルフ位相線型空間 ''X'' のウェブとは、''X'' の階層的に添字付けられた円板の族で適当な併呑条件と収斂条件を満たすものを言う。もう少し具体的に、第一階層の円板列 (''D''''i'') は空間 ''X'' を被覆し、各第一階層の円板 ''D''''i'' は ''X'' の円板の列 (''D''''ij'') で ''D''''ij'' ⊂ (1/2)''D''''i'' かつそれらの合併が ''D''''i'' を併呑するようなもの(それを各 ''i'' に亙って取ったもの)を第二階層の円板列として持つ。第二階層の円板にも同様の第三階層の円板列が存在し、以下同様に可算個の階層が定義される。
''D''''i'', ''D''''ij'', ''D''''ijk'', … のようにウェブの第 ''k''-階層から一つずつ取って作られる減少列をこのウェブのストランド(房)と呼ぶ。これを使えば、定義の最後の条件はストランドの任意の元 (''x''''k'')''k'' が収斂することと言い換えられる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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