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ウェリントンの勝利[うぇりんとんのしょうり]
交響曲「ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い」作品91(ドイツ語:''Wellingtons Sieg oder die Schlacht bei Vittoria'', Op. 91)は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの管弦楽曲である。
== 解説 == 本作は1813年6月21日、スペインにおけるビトリアの戦いで初代ウェリントン侯爵アーサー・ウェルズリー率いるイギリス軍がフランス軍に勝利したことを受けて、ウェリントン侯を讃える曲としてベートーヴェンが作曲したものである。この曲は2つのパートで構成される。前半はビトリアの戦いを再現したもので、左右からそれぞれの行進ドラムと進軍ラッパに続いてイギリス軍を表す「ルール・ブリタニア」とフランス軍を表すフランス民謡「マールボロ将軍は戦争に行く(マールボロ行進曲)」"Malbrough s'en va-t-en guerre"が現れ、激しくぶつかり合い、やがてフランス軍が撤退していく(短調にアレンジされたマールボロ行進曲)。後半はイギリス軍の勝利を祝う華々しい凱歌(イギリス国歌の変形、原型も顔を出す)となっている。演奏時間は約15分である。 本作はしばしば「戦争交響曲」と呼ばれる。交響曲と名づけられてはいるが、ベートーヴェンの9つの交響曲には含まれていない番外の作品である。オーケストラによるソナタとしての交響曲の概念に含まれるものではなく、むしろ描写音楽的であり交響詩先駆的楽曲と考えられる(ベートーヴェンの時代には「交響詩」という形式名は存在しなかった)。初演当初は熱狂的歓迎で受け入れられた作品であり、また火器の使用といった先進的な試みも見られることから、ベートーヴェンの音楽の変遷や受容を考察する上でも興味深い作品のひとつといえる。しかし当初の目新しさも、初演から200年経た現在では完全に色あせている。現在ではベートーヴェンの全作品の中で取り立てて存在感はなく、作曲者の多くの楽曲のなかで演奏機会も特に少なくなっており、交響曲全集・管弦楽曲全集などと銘打たれたCDにさえほとんど収録されていないのが現状である。同様の趣向のチャイコフスキーの序曲1812年が野外コンサートやCDなどで、比較的取り上げられる機会も多いのとは対照的である。今日でも通用するエンターテイメント性のある作品を作曲できたチャイコフスキーと当時の聴衆にしかアピールできなかった両者の差は興味深いところである。このような状況ではあるが、指揮者ロリン・マゼールが2度にわたって録音(ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、バイエルン放送交響楽団といった名門オーケストラと)していることは注目される。また、カラヤン、ドラティ、シェルヘンなどの著名指揮者もレコーディングを残している。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ウェリントンの勝利」の詳細全文を読む
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