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ウラン(, 〔http://www.thefreedictionary.com/uranium〕)とは、原子番号92の元素。元素記号は U。ウラニウムの名でも知られるが、これは金属元素を意味するラテン語の派生名詞中性語尾 -ium を付けた形である。なお、ウランという名称は、同時期に発見された天王星 (Uranus) の名に由来している。 == 概要 == ウランは、アクチノイドに属する元素の一つである。現在の地球上に天然に存在している元素のうち、大量に存在しているものとしては、ウランが最も原子番号が大きく、また最も原子量も大きい元素である。元々、ウランが地球上で天然に存在している元素としては、最も原子番号が大きいとされていたが、1951年にネプツニウムが、1952年にプルトニウムが、それぞれウラン鉱石中にごくごくわずかに含まれていることが発見された。既述の通りウランの原子番号は92であるが、ウランは原子半径も大きいため、その比重(密度)は、原子番号77番付近のオスミウムやイリジウムや白金などよりも小さい。(室温付近で、ウランが1cm3当り19g程度であるのに対し、オスミウムとイリジウムが22.5g程度、白金が21.5g程度である〔1cm3当り0.5g刻みの値。 ここは「概要」の節であるため、感覚的に理解してもらうために概算値を示した〕。)ウランには幾つもの同位体が知られているが、その全ての同位体が放射性核種であり(一つも安定核種が存在せず)、地球上では安定して存在し続けられない元素であることが知られている。しかし、ウランの同位体の中には半減期が長い(寿命が長い)同位体も存在する。特に長いのは、ウラン238(半減期は約44億6800万年)と、ウラン235(半減期は約7億380万年)である〔国立天文台 編 『理科年表(2008年版、文庫サイズ)』 p.466 ISBN 978-4-621-07902-7〕。このように半減期の長い放射性核種は、ウランに限らず、現在の地球にも天然の放射性物質として存在している。ウランの場合、現在の地球に天然に存在しているのは、ウラン238(現在の地球ではウランの約99.274%を占めている)、ウラン235(現在の地球ではウランの約0.7204%を占めている)、ウラン234(現在の地球ではウランの約0.0054%を占めている)の3種の同位体である〔国立天文台 編 『理科年表(2008年版、文庫サイズ)』 p.456、p.460 ISBN 978-4-621-07902-7〕〔地球上に天然に存在するウランの同位体は、ウラン238、ウラン235、ウラン234の3種であると考えて差し支えない。なお、全ての安定核種と半減期の特に長い放射性核種を合わせてと呼ばれるが、原生核種として数えられるのは、このうちウラン238とウラン235の2核種である。〕。このうちウラン238とウラン235は、半減期が長い(寿命が長い)ために現在の地球に存在している。(なお、ウラン238の割合が多いのは、ウラン238の半減期が一番長いことが関係している。)これに対してウラン234の半減期は、たったの約24万5500年程度でしかないにもかかわらず、現在の地球に存在している〔国立天文台 編 『理科年表(2008年版、文庫サイズ)』 p.456、p.460、p.466 ISBN 978-4-621-07902-7〕。ウラン234が現在の地球に存在していられる理由は、ウラン238が鉛206に変化する過程(ウラン系列)に、このウラン234が属しているからである。ウラン238が1回のα崩壊と2回のβ崩壊をすることで、このウラン234になるため、ウラン238が存在する限り、ウラン234も無くならない(ウラン234が崩壊しても新たに補充される)のである。なお、このようにウランの同位体は半減期がまちまちなので、地球上のウランの同位体の存在比は、少しずつ変化している。 ウランは、地球の地殻中や海水中に微量ながら広く分布している元素として知られている。ただし、地球上でウランは安定して存在し続けられないため、その存在量は減り続けている。現在の地球の地殻におけるウランの濃度は、地殻1g中に2.4μg程度であると考えられている。(異なる推定値もある。)同じく、現在の地球の海におけるウランの濃度は、海水1リットル中に3.2μg〔国立天文台 編 『理科年表(2008年版、文庫サイズ)』 p.944 ISBN 978-4-621-07902-7〕〜3.3μg程度である。海水中の場合、ウランは海の表層から深層まで、ほぼ一様な濃度で存在している〔国立天文台 編 『理科年表(2008年版、文庫サイズ)』 p.944 ISBN 978-4-621-07902-7〕。これに対して地中の場合、地球表層部(地殻中)のウランの濃度が高く、地球深部のウランの濃度は低いと考えられている。その根拠は、もし地中全体に1g中に2.4μgの濃度でウランが存在していた場合、ウランがα崩壊する時に放出される熱によって、地球は加熱されて温度が上昇していると見積もられているが、実際にそのような温度上昇は観測されていないことにある。地球におけるウランは、その存在量のほとんど(約1017kg)が、地殻の表層付近(地表から20km以内)に存在していると言われている。このように地球では表層付近に濃縮されているのは、ウランが不適合元素だからと説明される。なお、現在の太陽系におけるウランの原子の数の比は、珪素を1.00×106とした時、ウランは0.009であると推定されている〔 国立天文台 編 『理科年表(2008年版、文庫サイズ)』 p.137 ISBN 978-4-621-07902-7〕。 ウランは核燃料としても知られ、核兵器に使用できることでも知られている。これはウランに核分裂を起こさせることで、エネルギーを取り出しているのである。ただし、これらの用途に使用できるのは、現在の地球上に一番多く存在するウラン238ではなく、次に存在量が多いウラン235である。このウラン235は、唯一天然に産出する核分裂核種として知られ、原子力の分野では重要視されている。このため、しばしばウラン235を濃縮するという作業が行われている。なお、この作業の結果に生ずる、ほぼウラン238だけになった放射性廃棄物を、劣化ウランと呼ぶ。 他、一般的な重金属と同様に、ウランの場合も生体内に取り込まれると化学的な毒性を発揮するが、それに加えてウランは放射能を持つため内部被曝の原因ともなる。また、メカニズムは不明だが、ヒトの場合、特に腎臓がダメージを受けることで知られている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ウラン」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Uranium 」があります。 スポンサード リンク
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