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ウリュッセウス : ウィキペディア日本語版
オデュッセウス

オデュッセウス()は、ギリシア神話の英雄で、イタケーの王(バシレウス)であり、ホメーロス叙事詩オデュッセイア』の主人公でもある。ラテン語で(ウリクセス)あるいは (ウリュッセウス)ともいい、これが英語の(ユリシーズ)の原型になっている。彼はトロイ攻めに参加した他の英雄たちが腕自慢の豪傑たちであるのに対して頭を使って勝負するタイプの知将とされ、「足の速いオデュッセウス」「策略巧みなオデュッセウス」と呼ばれる。ホメーロス以来、女神アテーナーの寵厚い英雄として書かれる。イタケー王ラーエルテースアンティクレイアの子で、妻はペーネロペー、息子はテーレマコスである。シーシュポスが父とする説もある。
トロイア戦争ではパラメーデースの頓智でアカイア勢に加勢させられ、アキレウスの死後、その武具を大アイアースと争って勝利した。また木馬の策を立案し、アカイア勢を勝利に導いた。
オデュッセウスの貴種流離譚である長い帰還の旅に因み、長い苦難の旅路を「オデュッセイ、オデュッセイア」という修辞で表すこともある。啓蒙や理性の奸智の代名詞のようにもいわれ、テオドール・アドルノ/マックス・ホルクハイマーの「啓蒙の弁証法」でも取り上げられる。彼が難破して、裸体でスケリア島に漂着したところを助けた、純粋無垢の代表としての清らかな王女ナウシカアに対置されることもある。姦計としての理性対愛という対立構造で近世市民社会の論理を語るのに、オデュッセウスとナウシカアを対置させた哲学者もある。
==トロイア戦争以前==
ヘレネーパリスに連れ去られたことで、メネラオスは、かつての求婚者たちに誓いに基づき、彼女を奪還するのに協力するよう求めた。オデュッセウスは、戦への参加を厭い、狂気を装った。神託が予言するには、もし戦に出たならば、故郷に帰るのはずっと後になるということだったからである。オデュッセウスは、ロバと雄牛に鋤を引かせ(歩幅が異なるので鋤の効率が悪くなる)、地に塩を蒔いた。パラメーデースは、アガメムノンの要請により、オデュッセウスの狂気を明かそうとして、鋤の正面にオデュッセウスの幼い息子テーレマコスを置くと、オデュッセウスの鋤は息子を避けたので、狂気の扮装は暴露された。それゆえ、オデュッセウスは、故郷から引き離される原因となったパラメーデースを戦争中も憎んだ。
オデュッセウスと他のアガメムノンの使節は、スキュロスに赴き、アキレウスを仲間に加えようと望んだ。というのも、彼を欠いては、トロイアは陥落しないと予言されていたからである。しかし、アキレウスの母テティスは、アキレウスを女装させ、アカイア勢の目を逃れようとしていた。なぜなら、神託によると、アキレウスは、平穏無事に長生きするか、もしくは永遠の名声を得る代わりに若くして死ぬかのいずれかであると予言されていたからである。
しかし、オデュッセウスは、次のような方法を使って、前に立つ女性たちの誰がアキレウスなのかを見出すことに成功した。他の女性は装飾品にしか目を向けなかったものの、アキレウスだけ武器に興味を示したのである。さらに、オデュッセウスは、戦のホルンを鳴らし、アキレウスが武器を握りしめて戦士としての本来の性格を見せるのを鼓舞した。アキレウスの扮装もまた暴露されたので、アガメムノンらのアカイア勢に参加することになった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Odysseus 」があります。



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