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エームズ試験(Ames test)とは、物質の変異原性を評価するためのバイオアッセイ試験法である〔Mortelmans K & Zeiger E (2000): The Ames Salmonella/microsome mutagenicity assay. Mutat. Res. 455(1-2), 29-60. 〕。カリフォルニア大学バークレー校の ブルース・エイムス(Bruce N. Ames)教授らにより1970年代に開発されたため、エームズ試験の名がある。 変異原性物質には発癌性物質(イニシエーター)でもあるものが多いため、エームズ試験は発癌性予測の意味でも実施されている。ただしエームズ試験陽性物質と発癌性物質は重ならない部分も多い〔 Charnley G (2002): Ames Test: Encyclopedia of Public Health. 〕。 ==原理== 試験にはサルモネラ属の一種ネズミチフス菌(''Salmonella typhimurium'')のヒスチジン要求性突然変異を持ついくつかの菌株を用いる。これらはヒスチジンを合成できないため生育にヒスチジンが必要だが、変異原により復帰突然変異が起こるとヒスチジンなしでも生育できるようになり、これを利用して変異原性を検出する。菌株には、フレームシフト(コドンの読み枠がずれたためタンパク質が発現しない)および点突然変異(終止コドンができたため発現しない)の2種類があり、これらにより変異原のタイプも知ることができる〔Ames B N et al.(1972): Carcinogens as Frameshift Mutagens: Metabolites and Derivatives of 2-acetylaminofluorene and other Aromatic Amine Carcinogens. PNAS 69, 3128-132. 〕。試験菌株はリポ多糖合成に関わる遺伝子に突然変異を持ち細胞壁が変化して透過性が高くなっている〔Ames B N et al.(1973):An Improved Bacterial Test System for the Detection and Classification of Mutagens and Carcinogens. PNAS 70, 782-6. pmid=4577135〕上、ヌクレオチド除去修復にも変異があり変異原に対する感受性が高くなっている〔McCann J et al.(1975): Detection of Carcinogens as Mutagens: Bacterial Tester Strains with R Factor Plasmids. PNAS 72, 979-83. pmid=165497〕。 なお日本ではトリプトファン要求性突然変異を持つ大腸菌(原理は共通)も試験ガイドラインに指定されて用いられており、この試験もエームズ試験と呼ばれるが、本来のエームズ試験ではない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エームズ試験」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Ames test 」があります。 スポンサード リンク
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