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エクスプレス補給キャリア(英語:ExPRESS Logistics Carrier、略称:ELC)は、国際宇宙ステーション(International Space Station、略称:ISS)の曝露機器の予備品を運搬・保管する輸送キャリアであり、ISSのトラスに4基が設置された。ISSから電力および通信インタフェースの供給を受けられる。ExPRESSは「Expedite the Processing of Experiments to the Space Station(宇宙ステーションに実験の進行を促進させる)」の頭文字を取ったもので、メリーランド州グリーンベルトのゴダード宇宙飛行センターが主に開発を担当し、ジョンソン宇宙センターおよびマーシャル宇宙飛行センターがこれを補佐した。当初は「エクスプレス・パレット(Express Pallet)」と呼ばれ、与圧部で使われている「エクスプレス・ラック(Express Rack)」の曝露機器版として考案されたものであった。ELCを使用することで科学者は独自の衛星などを用意しなくても、真空の宇宙空間に実験機器を設置できるようになった。ELCはISSのトラス上に設置されている共通結合システム(Common Attach System、略称:CAS)に直接取り付けられる。 == 詳細 == ELCの電力系サブシステムにはエクスプレスキャリア電子機器(ExPRESS Carrier Avionics, ExPCA)があり、実験装置に電源を供給し、ISSとのデータの送受信を行う。ExPCA内部では、コールドファイアというCPUを基礎にして作られたコンピューターとソフトウェアおよび関連装置が「飛行制御機器(Flight Controller Unit, FCU)」を構成している。FCUは無料公開の即時制御ソフトであるRTEMSで稼働し、ELCのコマンドおよびデータ処理(C&DH)システムとして下記の目標を達成すべく、コンピューターと通信の発信源となっている。 *ISSとの低速データリンク(Low-Rate Data Link, LRDL)を介して、ELC本体及び搭載している実験機器へのコマンドを受信する。ExPCAは軍事基準1553()で規定されたISSのローカルバスのリモートターミナルとして作動する。またExPCAや搭載実験機器からISSに対してハウスキーピングデータを送ることもできる。 *ExPCAからELCに搭載している実験機器にLRDLを介してISSからの実験指示を送り、また実験機器からISSに向けてデータを送信する。これもMIL-STD-1553で規定されていることで、ExPCAはバス・コントローラー(Bus Controller)としても機能する。 *ELCとISSとの間の高速データリンク(High-Rate Data Link, HRDL)を提供する。これは光ファイバーケーブルを使用することで毎秒95.0MBのデータの転送が可能である。この装置の主目的は、実験機器からISSへの大容量のデータを送信することである。 *ELCと搭載実験機器の間でイーサネットを使用したローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を形成し、毎秒6.0MBのデータの送受信をする。この装置の主目的は、科学的実験データをHRDLを介してISSとやりとりすることである。 *各エクスプレス搭載物接続器(ExPRESS Payload Adapter, ExPA)では、6個のアナログ入力チャンネルをサポートする。 *各ExPAでは、6個の独立したコマンドチャンネルをサポートする。 ELC-2には、ELCに初めて搭載される実験装置が設置された。これはMISSE-7(Materials for ISS Experiment-7)と呼ばれる材料曝露実験装置であった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エクスプレス補給キャリア」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 ExPRESS Logistics Carrier 」があります。 スポンサード リンク
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