|
エシュロン(Echelon)は、アメリカ合衆国を中心に構築された軍事目的の通信傍受(シギント)システム。同国の国家安全保障局(NSA)主体で運営されていると欧州連合などが指摘している〔「個人的及び商業的通信への世界的傍受システムの存在について((2001/2098(INI)) 欧州議会報告(英文)〕一方、アメリカ合衆国連邦政府自身が認めたことはない。フランス語で「(梯子の)段」を意味する語・échelonに由来する。エドワード・スノーデンの告発により、PRISMで有線データ通信さえも盗聴されていることが明らかになった。収集・分析・分類・蓄積・提供の各機能によって構成されていると考えられている。 == 情報活動 == === 収集 === エシュロンはほとんどの情報を電子情報の形で入手しており、その多くが敵や仮想敵の放つ電波の傍受によって行われている。1分間に300万の通信を傍受できる史上最強の盗聴機関といわれている。 電波には軍事無線、固定電話、携帯電話、ファクス、電子メール、データ通信などが含まれており、同盟国にある米軍電波通信基地や大使館・領事館、スパイ衛星、電子偵察機、電子情報収集艦、潜水艦を使って敵性国家や敵性団体から漏れる電波を傍受したり、時には直接通信線を盗聴することで多量の情報を収集していると言われている。 現代においては、データ通信の大部分は、光ファイバーを利用した有線通信によって行われており、傍受することは極めて困難である。それでも例えば、20世紀末までは海底ケーブルの中継器に傍受装置を取り付けることで光ファイバでも盗聴が可能であったが、1997年以降からは電気アンプから光学的に増幅するアンプに変わったために不可能になった〔鍛冶俊樹『エシュロンと情報戦争』(2002年2月20日第1版発行 文春新書)ISBN 4-16-660227-6〕〔光学的アンプでも、電力の供給をとらえることにより傍受可能である。また、光伝達経路に傍受装置をおけば、より的確な傍受が可能である。〕(ところが2013年には、エドワード・スノーデンの告発により、PRISMで有線データ通信さえも盗聴されていることが明らかになった)。 電気通信事業者の協力を得てデータ収集を行っている可能性も指摘されている。電子フロンティア財団は、NSAがサンフランシスコのSBCコミュニケーションズ(現AT&T)施設(Room 641A)に傍受装置を設置してインターネット基幹網から大量のデータを収集・分析していたとし、アメリカ合衆国政府およびAT&Tに対し訴訟をおこしている(アメリカの連邦法はNSAやCIAが国内で盗聴はもちろんのこと、一切の諜報活動を為すことを禁じている〔1947年国家安全保障法はCIAの国内諜報活動を禁止している(no internal security functions)が、一方で米国愛国者法(Patriot Act)や大統領行政命令(Executive Order)、国家安全保障法の「国家安全保障決定覚書」(NSDM)、外国諜報活動偵察法(FISA)などにより緩められている。またCIAが禁じられているのは「米国内での」諜報活動であり、国外施設での米国内、米国人の活動監視を禁じているのではない。また実際問題として米国外の傍受活動で、米国関係を排除するのは不可能である。またNSAの国内活動を禁止する法律はなく、あくまでも内規である。さらに通信保全(COMSEC)活動としてNSAは国内での米軍通信を傍受している(政府の通信保全全体を統括しているので、政府全体も傍受しているはずである)。〕。これは活動即ち、政府が主権者たる国民を敵視している事を意味するからである)。 この情報収集活動には、米国のみならずエシュロンに加盟している各国もアンテナ施設の設置を認めるなど、さまざまな形で協力していると言われている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エシュロン」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|