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エナンチオトピック : ウィキペディア日本語版
プロキラリティー
プロキラリティー (prochirality) とは、有機化合物立体化学的性質の概念のひとつである。ある化合物がプロキラリティーを持つ、あるいは、ある化合物がプロキラルである、というときには、その化合物自体はキラリティーを持たないが、しかるべき付加反応、あるいは置換反応を受けることによって、一段階でキラリティーを持つ化合物に変わる、ということを意味する。すなわち、「プロキラリティー」は「キラリティー」の前段階である。なお、プロキラル (prochiral) という言葉も用いられるが、それは同じ概念を表す形容詞である。
プロキラリティーのもととなる反応点の炭素原子をプロキラル中心炭素と呼ぶが、それは 2種類に大別できる。一つは、付加反応を受けることでキラル中心になる、「プロキラル面」と呼ばれる平面三角形型炭素 (sp2型炭素)、もう一つは、置換反応を受けることでキラル中心になる四面体型炭素 (sp3型炭素) である。
== 平面三角形型炭素のプロキラリティー ==

例として、アセトフェノン(メチルフェニルケトン)のカルボニル基に水素が付加して 1-フェニルエタノール(α-メチルベンジルアルコール)となる水素化反応を考える。アセトフェノンはもちろんアキラルな(キラルでない)化合物だが、生成物のアルコールは不斉炭素を持ち、キラルな化合物である。すなわち、アセトフェノンはプロキラルな化合物である。そしてその水素化反応においては、プロキラル中心である sp2型カルボニル炭素の平面(プロキラル面)に対し、裏表のどちらの面の方向から水素が付加してくるのかが、生成物のアルコールのキラリティ (R か S か)を決めることになる。もしも不斉水素化であれば、生成物の立体選択性は、水素がどちらの面に付加するかという選択性に等しく、これは面選択性と呼ばれる。
面選択性を議論する場合などに、2つのプロキラル面を ''Re''面 (''Re''-face)、''Si''面 (''Si''-face) と呼ぶことがある。その表記法を概説する。
#問題とする面が正面を向くように、プロキラル中心炭素とそこへ結合している 3つの置換基を描く。
#3つの置換基の優先順位を CIP則(Cahn-Ingold-Prelog則)にしたがい優先順位をつける。
#1番目、2番目、3番目となった置換基が、その順に時計回りに配置していれば、問題とした面は ''Re''面と呼ぶ。反時計回りであれば ''Si''面と呼ぶ。
この方法によれば、付加する化学種の種類にかかわらず、面の呼称が一意に決まる。なお、
''Re''、''Si''、の呼称は、立体化学を表す R、S 表記と同様に、ラテン語で右、左を意味する言葉、rectus、sinister に由来する。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「プロキラリティー」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Prochirality 」があります。



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