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エンジニアリングプラスチック : ウィキペディア日本語版
エンジニアリングプラスチック
エンジニアリング・プラスチック (Engineering plastic) とは、特に強度に優れ、耐熱性のような特定の機能を強化してあるプラスチックの一群を指す分類上の名称である。厳密ではないが一般には、100以上の環境に長時間曝されても、49MPa以上の引っ張り強度と2.5GPa以上の曲げ弾性率を持ったものが該当する。「エンプラ」と略称されることが多い〔桑嶋幹・木原伸浩・工藤保広著、『プラスチックの仕組みとはたらき』、秀和システム、2005年7月11日第1版第1刷発行、ISBN 4798011088〕〔斉藤勝裕著、『へんなプラスチック、すごいプラスチック』、技術評論社、2011年5月25日第1版第1刷発行、ISBN 9784774146478、112頁〕。
== 概要 ==
エンジニアリング・プラスチック(以降「エンプラ」と記す)は、耐熱性の高いプラスチックの一群である。熱に弱いという本質的なプラスチックの性質を改善した耐熱性の高い合成樹脂が開発され、この高耐熱性によって同時に機械的強度も向上している。使用温度や強度の点で、金属部品と従来型プラスチック部品の中間的/補完的な位置にあり、多くの種類が開発されて用途に応じて使い分けられている。しかし、自然に逆らうようなベンゼン環構造を多く内包した分子構造を持つものも多く微生物分解性に乏しい一方で、リサイクル性では金属に劣るため、適用の賛否は今も続いている。
一般的にプラスチックは可塑性に優れ成形加工し易いというの長所を持つが、汎用プラスチックなどと呼ばれる従来のプラスチックは熱に弱いため、機構部品の素材として用いると、可動部で摩擦熱が発生したり、使用環境の温度が高いことで強度不足で破損したり精度が保てない、寿命が短いなどの問題点がある。エンプラは耐熱性が優れているため、ある程度の高温環境でも強度が維持できる。
また、汎用プラスチックは低温下でもプラスチック部品の強度が低下することや、硬度金属に比べて低いため耐磨耗性に劣り、太陽光に曝される環境では紫外線によって劣化したり、油脂のような溶剤や化学薬品、あるいはガスに曝された場合も脆化する場合があるため、こういった要求に対応した多様なエンプラが開発され利用されている。
エンプラは、従来のプラスチックに比べて素材そのものの価格が高く、加工費も割高となる傾向がある。また比重もエンプラはプラスチック一般に比べ大きめである。ただし素材に強度があるため、構造自体を細く薄くするなどして、製品自体は軽量化できる余地はある。従来あるプラスチック製品の需要をエンプラが代替するよりも、むしろ金属素材の置き換えという役割の方が大きい。一方では、汎用プラスチックに分類されるものも徐々に性能向上が進み、一部はエンプラを代替するようになっている〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「エンジニアリングプラスチック」の詳細全文を読む



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