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エンジンブレーキ : ウィキペディア日本語版
エンジンブレーキ
エンジンブレーキ(Engine braking)とは、自動車鉄道車両など、エンジン(主として容積型内燃機関)で車輪を駆動する車両において、エンジンに燃料を送り込まないことによって、エンジンの抵抗によって生じる制動作用である。独立した制動装置があるわけではなく、自動車やオートバイではアクセルペダルやスロットルグリップを戻して、エンジンの出力を落とすことでエンジンブレーキの作用が発生する。鉄道車両では、エンジンブレーキボタンやブレーキハンドルを操作することで利用できる。
== 概要 ==
エンジンの運転には常に損失が伴い、排気の熱として逃げる「排気熱損失」、冷却水へ熱が逃げる「冷却損失」、機械的な摩擦やオイルの撹拌で生じる抵抗の「機械的摩擦損失」、吸排気の流体抵抗として生じる「ポンプ損失(ポンピングロス)」に分けられ、このほかに輻射によるエネルギー散逸や、燃料の未燃焼分の化学的熱量消失が含まれる。また、エンジン単体としてではなく車両などに搭載された状態では、オルタネーターなどの補器類を駆動するエネルギーとして消費される「補機類駆動損失」も生じる。このうち機械的摩擦損失、ポンピングロス、補機類駆動損失ならびに冷却損失の一部はエンジン回転の抗力として作用し、走行中にエンジン出力と走行抵抗を平衡させた状態(定車速)からエンジン出力を下げると、車両には減速力、すなわちエンジンブレーキとして作用する。
ポンピングロスは、エンジンがポンプのように空気を吸入し、排気ガスを排出することで生ずる抵抗である。ガソリンエンジンに代表されるスロットルバルブを有するエンジンにおいては、スロットル開度が小さいほど、空気吸入時の筒内負圧が大きくなり、エンジンブレーキが強く作用する。また、エンジン回転速度が大きいほど単位時間当たりの損失が増えるため、同様に強く作用する。一方で、ディーゼルエンジンのようにスロットルバルブによる出力調整を伴わないエンジンは、エンジンブレーキの作用が弱い。ディーゼルエンジンを搭載した大型の貨物自動車は車重による慣性力が大きいことから、排気抵抗を増してエンジンブレーキの作用を補強する排気ブレーキや、リターダといった補助的な制動装置が追加される場合が多い。
近年の自動車で採用されている電子制御式燃料噴射装置では、燃費向上のため、アクセルペダルからの入力が無くエンジン回転速度が一定値〔一般的に、排気ガス触媒温度やエアコン動作有無など、走行環境によって制御される。〕以上の場合、燃料噴射を停止する。つまり、エンジンブレーキが作用して車両が減速していく際、燃料は消費されない。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「エンジンブレーキ」の詳細全文を読む



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