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エンパグリフロジン : ウィキペディア日本語版
エンパグリフロジン

エンパグリフロジン(Empagliflozin、商品名:ジャディアンス、開発コード:BI-10773)は、ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)-2 阻害作用を有する]である。グルコースは通常、腎臓の糸球体で一旦原尿中に排出され、尿細管から再吸収される。SGLT-2は腎臓の近位尿細管に発現していて、グルコースの再吸収の約90%を担っているとされる。血糖値が過剰に高い場合、SGLT-2を阻害することにより、尿中へ排泄されるグルコースが増加し、血液中のグルコース濃度が適正化される。
==承認==
米国及び欧州で2013年5月〔Miriam E. Tucker for Medscape Medical News. May 07, 2013 First Details of Empagliflozin Trials Follow US and EU Filings 〕、日本で2013年10月に承認申請され、欧州で2014年5月、米国で2014年8月〔Elizabeth Mechatie for Clinical Endocrinology News Digital Network August 1, 2014 FDA approves empagliflozin for adults with type 2 diabetes 〕、日本で2014年12月に承認された。
== 副作用 ==
重大な副作用として添付文書に記載されているものは、低血糖(他剤、特にSU薬との併用)、脱水、ケトアシドーシス、腎盂腎炎敗血症である。
10mg及び25mgの用量で、泌尿器系器官の感染症の頻度が増加することが報告されている〔Miriam E. Tucker for Medscape Medical News. May 07, 2013 First Details of Empagliflozin Trials Follow US and EU Filings 〕。尿量の増加及び体重の減少を来す症例が多いことが報告されている。
== 選択性 ==
ナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)には、少なくとも6種類の遺伝子産物が含まれている。それらのうち、SGLT-1は小腸腎臓心筋骨格筋などの細胞膜に発現していると云われており、小腸粘膜に多く発現するSGLT-1は、食物由来のグルコースの吸収に関与している。小腸粘膜においてSGLT-1機能が阻害されると、グルコースとガラクトースの吸収不良を生じる可能性があり、下痢脱水をきたすおそれがある。故に糖尿病治療に用いるSGLT-2阻害薬は、高い選択性すなわちSGLT-1を高濃度に於いてのみ阻害するような性質が必要であると考えられる。また、上述の通りSGLT-2は腎臓の近位尿細管細胞に多く発現している。
エンパグリフロジンのSGLT-1に対するIC50は8,300nMであり、SGLT-2に対するIC50は3.1nMである。又、有色ラットに14C-エンパグリフロジンを5mg/kg経口投与したときの組織中放射能濃度を定量的全身オートラジオグラフィーにより測定した処、投与1時間後(Cmax:447ng Eq/g)での組織中濃度は小腸339ng Eq/g、腎臓2,540ng Eq/g、心筋(データ無し)、骨格筋(データ無し)、脳0ng Eq/g(移行無し)であった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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