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オオタニワタリ : ウィキペディア日本語版
オオタニワタリ

オオタニワタリ (''Asplenium antiquum'' Makino) はシダ植物門チャセンシダ科に属する日本南部から台湾の森林内の樹木や岩などに着生するシダ植物。単にタニワタリとも言う。本州南岸以南に分布するが、南では近似種が他にもある。
== 特徴 ==
葉は細長く、先端がとがった広線形で、切れ込みなどはない。主軸はしっかりしていて、褐色に色づく。基部には少し葉柄があって、鱗片が密生する。胞子のう群は葉の裏側に並ぶ。葉の先端の方から中程まで、主軸の両側に、多数の直線状の胞子のう群が、主軸から斜め上方向へ、平行に並んでいる。
茎は短くて直立する。葉は茎の先端に集中して放射状に配列し、斜め上に伸びるので、全体としてはお猪口のような姿になる。茎の側面はたくさんの根が出て、黒褐色のふわふわしたスポンジ状の固まりとなる。着生植物で、熱帯亜熱帯では樹木の幹や枝に付着して成長する。ただし、日本本土など比較的寒冷な地域では岩の上や地上で生育するものが多くなる。
葉がお猪口型になるのは、落ち葉をここに集めて、自分が成長するための肥料とするための適応と考えられる。ここに溜まった落ち葉はやがて腐葉土になり、葉の間から出る根によって保持され、株の成長とともに株の下部に発達する根塊の一部となる。このように、大量の根が樹上に大きなクッション状の構造を作るため、ここに根を下ろして生育する植物も出現する。沖縄ではオオタニワタリやシマオオタニワタリの大株には、必ずと言ってよいほどその下の根の部分から着生性のシダ植物であるシマシシランが多数の葉を垂らしているのを見かける。同様な着生シダのひとつコブランもこのようなところに生育する。また、ここにもぐりこむ昆虫もおり、東南アジアにはこの仲間の根塊にのみ穿孔生活をするクロツヤムシの存在がよく知られている。このように、タニワタリ類の根塊は一つのまとまった生物群集を支えることとなる。

Image:Asplenium antiquum sporangia.jpg|葉の裏側。近縁種と比較して線状の胞子嚢群が長い
(八丈島植物公園)
Image:Asplenium setoi2.jpg|(比較対象)
ヤエヤマオオタニワタリの葉の裏側。
胞子嚢群が短い
(西表島)
Image:Asplenium antiquum.jpg|新芽の多い個体
(八丈島植物公園)
Image:Asplenium antiquum2.jpg|シュロに着生している状態


抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「オオタニワタリ」の詳細全文を読む



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