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オニヌマエビ : ウィキペディア日本語版
オニヌマエビ

オニヌマエビ(鬼沼蝦)、学名 ''Atyopsis spinipes'' は、十脚目ヌマエビ科に分類されるエビの一種。西太平洋沿岸の熱帯域のに生息する大型のヌマエビである。ペットとして飼育されることもある。オニヌマエビ属 ''Atyopsis'' は、本種と ''A. moluccensis'' (De Haan, 1849) の2種だけで構成される〔Sammy De Grave, N. Dean Pentcheff, Shane T. Ahyong ''et al''. (2009)""Raffles Bulletin of Zoology, 2009, Supplement No. 21: 1–109, National University of Singapore〕。

==特徴==
成体は体長71mmに達するが、50mmまでの個体が多い。日本産ヌマエビ類では最大種で、標準和名の「オニ()」も大型であることを表している。種内ではメスの方がオスよりも大きい。額角は短く、下縁のみに3-8個(通常4-5個)の鋸歯があり、上縁には鋸歯がない。5対の歩脚のうち、第1・第2歩脚が鋏脚となり、この先端に長い毛が並んで生える。またその後ろにある第3歩脚は歩脚の中で最も太くて長い。第3-第5歩脚は長節・腕節・前節(それぞれ腿・膝・脛に見える部分)が太く発達するが、指節(脚の最も先端の関節)は短くて小さい〔三宅貞祥『原色日本大型甲殻類図鑑 I』1982年 保育社 ISBN 4586300620 - 諸喜田, 1979の報告も引用されている〕〔Kent E. Carpenter and Volker H. Niem "FAO Species Identification Guide for Fishery Purposes The Living Marine Resources of The Western Central Pacific vol.2 Cephalopods, crustaceans, holothurians and sharks" 〕。
小スンダ列島サモア九州南部まで、西太平洋の熱帯海域沿岸に分布する。タイプ産地フィリピン諸島である。日本では九州南端の記録があるが、多く見られるのは南西諸島である〔〔〔鈴木廣志『薩摩半島・大隅半島の河川にみられる淡水産エビ類』 2007年 鹿児島大学総合研究博物館News letter No.17 P.9〕〔Fenner A. Chace, Jr."The Caridean Shrimps (Crustacea:Decapoda) of the Albatross Philippine Expedition, 1907-1910, Part 7: Families Atyidae, Eugonatonotidae, Rhynchocinetidae, Bathypalaemonellidae, Processidae, and Hippolytidae" Smithsonian Contributions to Zoology No. 587,Smithsonian Institution Press, Washington, D.C. 1997〕。
熱帯域の流れの速い川に生息する。水流に向かって2対の鋏脚を広げ、鋏脚の毛に引っ掛かったデトリタス等の流下物を食べる。石垣島のオニヌマエビ個体群が諸喜田茂充によって研究されており、メスの抱卵期は5月中旬-9月初旬、産卵盛期は7-8月、卵は0.52×0.32mmの楕円球形と報告されている。両側回遊の生活史をもち、卵から孵化したゾエア幼生は海に流され、海で稚エビまで成長して川を遡る〔。
他のヌマエビ類と同様に食用や肥料に利用されるが、産業における重要度はそれほどではなかった。しかし20世紀後半頃からはアクアリウムにおける飼育生物の一つとして流通・販売がなされるようになった。但しインド太平洋熱帯域におけるヌマエビ類の多様性は高いため、「オニヌマエビ」で流通しているものが厳密に本種である保証はない〔〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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