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代替酸化酵素(だいたいさんかこうそ、、オルタナティブオキシダーゼ)は、様々な真核生物においてミトコンドリア電子伝達系を構成する酵素の1つである。そのホモログは原核生物のゲノム中にも見出されている。 代替酸化酵素は呼吸毒であるシアン化物に対して耐性であることから見出された。 == 機能 == 酸素呼吸において通常シトクロムcオキシダーゼ(複合体IV)が最終的に電子を酸素へ受け渡すが、代替酸化酵素はキノールを酸素で酸化することで複合体IIIと複合体IVをバイパスする。複合体IIIと複合体IVがプロトン輸送能を持つのに対し、代替酸化酵素はプロトン輸送を行わないため、この経路が利用されるとATP産生能は低下する。 植物では寒さ、活性酸素、感染などのストレスに応答して発現する。 この代替経路の利点は明らかでないが、これらのストレスへ抵抗するにあたり酸化ストレスを抑える意味があるのかもしれない。 アフリカ睡眠病の病原体であるブルーストリパノソーマは、血流中では解糖系に依存してATP産生を行っているが、そこで生じるNADHの再酸化のために代替酸化酵素が必須である。 この点は宿主と大きく異なるため、トリパノソーマの代替酸化酵素は薬剤標的として魅力的である。 代替酸化酵素の阻害剤の中でもアスコフラノンは酵素を阻害するだけでなく感染マウスを治癒させることができる。 真菌では、代替酸化酵素により呼吸鎖をバイパスできることにより、抗真菌剤への耐性に寄与していることが知られている。、ピコキシストロビン(Picoxystrobin)、フルオキサストロビン(Fluoxastrobin)といった系の殺菌剤は呼吸鎖複合体IIIを阻害するが、代替酸化酵素が呼吸鎖をバイパスすることで真菌は生き延びることができる。 ただし胞子の発芽には多量のエネルギーが必要なため、ATP産生量が少ない代替経路では賄いきれず、したがってこれらの殺菌剤は発芽の抑制には効果を発揮する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「代替酸化酵素」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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