|
『オレステイア』(, )は、古代ギリシアの悲劇作家アイスキュロスの書いた、トロイア戦争におけるギリシア側総大将アガメムノーン一族についての悲劇作品三部作。この呼称は作中に登場するアガメムノーンの息子オレステースにちなむ。 古代のギリシア悲劇は競作形式で、1日のうちに同じ入賞者による悲劇3本と悲喜劇(サテュロス劇)1本の計4本が併せて上演されたが、当初はその悲劇3本は連作の三部作形式をとっていた。その三部作が唯一完全な形で残されたのが、この『オレステイア』と呼ばれる三つの戯曲であり、 *『アガメムノーン』 *『供養する女たち』 *『慈しみの女神たち』 の三つの悲劇から構成される。これにサテュロス劇『プローテウス』を加えた計4作が、紀元前458年のアテナイのディオニューソス祭にて上演された〔『全集1』 岩波 p.269〕。 なお、少々解釈の違うところはあるが、このオレステイア三部作の前日譚として、トロイア戦争出陣前、王女イーピゲネイアが神の生贄にされるまでを描いたエウリピデースによる悲劇『アウリスのイーピゲネイア』、後日譚として、生きていたイーピゲネイアとオレステースの姉弟再会を描いた同じくエウリピデースの〔このオレステイア三部作もそうだが、ギリシア悲劇は必ずしも悲劇的な結末ばかりではない。〕『タウリケーのイーピゲネイア』がある。 == 内容 == === アガメムノーン === ミュケーナイのアガメムノーンの宮の屋上にてトロイア戦争における勝利を伝えるのろしを長年待っている物見男のうんざりした独白の中〔この物見の男は舞台背後のスケネと呼ばれる楽屋兼舞台背景となる建築物の上に上がって演技をする。意表をついたオープニングである。〕、のろしが上がるところから物語は始まる。土地の長老からなるコーラス隊が物語のここまでの経緯を説明した歌を歌ったのち、イーリオス(トロイア)を陥落させたギリシア軍総大将アガメムノーンが、10年ぶりにミュケーナイに凱旋帰国する。コーラス隊がギリシア側の勝利を寿ぐ歌を歌う中、アガメムノーンの妃クリュタイムネーストラー(ヘレネーの姉)が出迎え、二人は宮内に入るが、捕虜として連れられてきたトロイアの王女カッサンドラーは、この宮には復讐の女神(エリーニュス)がとりついており、アガメムノーン家には大きな不幸が起こると予言する。やがてカッサンドラーが自らの運命も受け入れると心に決め、宮内に飛び込むと、アガメムノーンの悲鳴が宮内より聞こえてくる。宮門が開かれると、刃物を持ったクリュタイムネーストラーの足元にアガメムノーンとカッサンドラーが血まみれで倒れている光景が広がる〔開かれた門から台車に乗った移動式小舞台が出てくる演出だったと推定されている。〕。トロイア戦争へ出征する際、アガメムノーンは娘イーピゲネイアを女神への生贄として捧げた。これを怨んだクリュタイムネーストラーは、同じくアガメムノーンに恨みを抱いているアイギストスと深い仲になり、共謀して夫アガメムノーン、そして捕虜たるその愛人カッサンドラーを殺害したのだった。コーラス隊は妃とその愛人を非難し、剣を構えて対峙するが、クリュタイムネーストラーは娘の仇をとったことは正義に基づくものであり、今後はアイギストスと自分がこの国のすべての支配者であるのだと宣言する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「オレステイア」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|