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OHVとは、 Over Head Valve(オーバー・ヘッド・バルブ)の略語で、4ストローク機関の吸排気弁機構の形式の一つ。バルブ機構をシリンダーヘッド上に備えた形式を言う。日本語では頭上弁式と表記される。カムシャフトをシリンダヘッドに備えたSOHCやDOHCも吸排気弁をシリンダーヘッドの上部に持つため、広義には頭上弁式に含まれるが、一般的にOHVとはシリンダーヘッドにカムシャフトを持たないものを指し、SOHCとDOHCを除いたものを呼ぶ。 == 構造 == カムシャフトがシリンダーブロック側に位置し、プッシュロッドとよばれる長い棒を介してロッカーアームを押し上げバルブを開閉させる。したがって「プッシュロッドエンジン」と呼ばれることもある。最初のOHVエンジンはスコットランド系アメリカ人であるデビッド・ダンバー・ビュイックにより開発された。それ以前にはサイドバルブ(以下SV)やスライドバルブが用いられていた。 SVに対してOHVが有利なのは、バルブ開口部をシリンダーボア内に配置することで、燃焼室を小さくできる点である。 これによりOHVはSVに比べて燃焼室の表面積が小さくなったことで、ヘッドへ逃げる熱が少なくなり、さらにノッキングを起こしにくい燃焼室形状にしやすく圧縮比も高くとれるため、一段と熱効率と出力を向上させることが可能となった。 SV方式からの移行期には吸気弁がOHV、排気弁がSVというIOE(intake/inlet over exhaust)エンジンも存在した。IOEエンジンはウィリス時代のジープやハーレーダビッドソンなどにも見られ、米国などでは「Fヘッド」、日本では「F頭式」〔三菱自動車のジープやジュピターなど、JH4型エンジン搭載車のカタログの記述。〕と通称される。自動車やオートバイではOHVの登場によって廃れたが、汎用石油発動機ではその後も多く見られた。また逆に吸気弁がSV、排気弁がOHVというEOI(Exhaust over intake)エンジンも存在した。 SVのOHV化は吸排気ポートと動弁機構を持つヘッドに交換し、サイドバルブが通っていた部分にプッシュロッドを通すことでシリンダーヘッドのバルブを駆動させる事で可能となるため、初期のOHVエンジンにはSVエンジンをベースにしたものもみられた。この様に構造上は比較的容易にOHV化することも出来ることから、SVをOHV化するキットなども存在する。 長いプッシュロッドではその慣性質量と、熱膨張による寸法変化、および、駆動時の弾性変形が問題となるため、カムシャフトを高い位置に配置してプッシュロッドを短くした、ハイカムシャフト方式と呼ばれるものもある〔「ハイカム」と略されるが、高出力化のためにバルブのストロークを大きくとった「ハイリフトカム(シャフト)」もハイカムと略されるため注意が必要。〕〔自動車用日本メーカーのOHVエンジンでの例・トヨタ・K型およびDOHCヘッド仕様を除くT型、日産・A型、三菱・4G4型、ミンセイ・UD各型など。ミンセイ・UDはユニフロー掃気ディーゼルエンジンのため、頭上弁はすべて排気弁である。〕。この場合、カムシャフトはローラーチェーンなどを用いて駆動され、動弁系の往復慣性重量はSOHCと比べさほど大きくならず、また、ヘッド直上にカムシャフトがないためDOHC同様のセンタープラグと理想的弁配置が取れる利点がある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「OHV」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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