|
カノコガイ(鹿の子貝)、学名 ''Clithon faba'' は、アマオブネガイ目アマオブネガイ科に分類される巻貝の一種。南日本を含む熱帯太平洋沿岸の汽水域に生息する巻貝である。なお本種と同様に淡水・汽水に産するアマオブネガイ科の巻貝は、和名に「○○カノコ」とつけられているものが多い。 ==特徴== 成貝は殻長15mmほどで、貝殻はアマオブネガイ科に共通した半球形である。螺塔は僅かに突出するが、成長すると体層のみを残し欠けることが多い。殻上面は平滑で鈍い光沢のある殻皮を被る。殻底の滑層はアマオブネガイ科としては狭く、灰白色や黄白色をしている。軸唇(D字形をした殻口の直線部)には鋸歯状の低いギザギザが並ぶ。蓋は石灰質で黄灰色だが、外縁に赤い角質が露出するため赤く縁取られたように見える。 成貝殻表は全体的には緑褐色だが、個体によって多様な模様が出現し変異に富む。これらの模様は成長線・色帯・小三角斑等の模様が黒・茶・赤・黄などで彩られたもので、例えば赤地に小三角斑の「イチゴ模様」、黒地に黄灰色の細い線が入った「稲妻模様」、さらにそれらが色帯で区切られたもの等もある。 同属のイシマキガイ ''C. retropictus'' に似るが、カノコガイの小三角斑は2辺が太いので、1辺だけが太いイシマキガイと区別できる。またイシマキガイは色彩変異に乏しいこと、殻径20mmを超えること等も異なる〔波部忠重監修『学研中高生図鑑 貝I』1975年〕〔黒田徳米・波部忠重・大山桂 生物学御研究所編『相模湾産貝類』1971年 丸善 ISBN 4621012177 - イシマキガイ属の解説〕〔奥谷喬司 編『日本近海産貝類図鑑』(アマオブネガイ科解説 : 土屋光太郎)2000年 東海大学出版会 ISBN 9784486014065 - 近縁種も多数掲載されている〕〔鹿児島の自然を記録する会編『川の生き物図鑑 鹿児島の水辺から』(解説 : 行田義三)2002年 南方新社 ISBN 493137669X〕〔三浦知之『干潟の生きもの図鑑』2007年 南方新社 ISBN 9784861241390〕。 熱帯太平洋の沿岸域に分布する。日本では紀伊半島以南の本州・四国・九州・南西諸島で見られ、イシマキガイより南に偏った分布を示す。 暖流に面した河口等の汽水域に生息する。同所的に見られる生物は、紀伊半島から九州にかけてではイシマキガイ、フトヘナタリ、ヘナタリ、ウミニナ等だが、南西諸島では同じアマオブネガイ科の近縁種が多数見られる〔。イシマキガイが純淡水域まで進出するのに対し、本種の生息域は海水の影響がある範囲にほぼ限られ、純淡水域に出現するとしても汽水域上限からせいぜい数mほど上流で稀に見られる程度である。逆に塩分濃度が高い海水域に出ることもない。活動時は水から出ず、潮が引いた干潟では川の本流内、または干潟上の澪筋や水溜まりに集まる〔。石や流木等に付着し、表面のバイオフィルムを歯舌で削り取って摂食する。 繁殖形態はイシマキガイと同様で、交尾後にメスは石等に小さな卵嚢を産みつける。孵化した幼生は海で浮遊生活をした後に汽水域へ定着する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「カノコガイ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|