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カミングアウト
カミングアウト(''Coming out'')とは、これまで公にしていなかった自らの出生や病状、性的指向等を表明すること。英語の動詞形でカムアウト(''Come out'')とも言う。逆に、他人の秘密を暴露することをアウティング(''Outing'')という。 ==語源== 同性愛者は家族や親友や職場や社会から同性愛者であることを隠すには、異性愛者として振る舞う必要がある。例えばHIV感染や在日の状態を隠す場合に、日本に対する愛国やエイズに対する偏見を日常生活でことさら口にする必要は無いが、男の同性愛者がそのことを隠して学校や職場の男友達と付き合う場合は女性関連の会話においては女性に性的な興味があるかのように振る舞う必要がある。つまり「隠れゲイ」は日常生活で常に偽りの自分を演じなければならない状態にある。この「真の自分を押し込め、暗く抑圧された窮屈な状態」のことをアメリカの同性愛者の間では「押入れ(クローゼット)の中にいると暗喩されていた。そこから、「(真の自分を押し込んでいた)クローゼットの中から出て真の姿を開放する」という意味でクローゼットから「カミングアウト」という用語がアメリカのゲイ社会で生まれた。 この用語がアメリカ社会全体に浸透したのはエイズが出現した80年代である。男性の同性愛者の間では妊娠の心配がなかったことと、これまで存在した性病は抗生物質で治療可能であったことなどからコンドームが殆ど使用されていなかったことに加えて、都市部ではゲイはサブカルチャー的な隠れ社会であったことから一部の同性愛者のあいだでは不特定多数との「同胞」との性交が頻繁であったこともあってエイズが急速に広まる。アメリカ社会の道徳に強い影響力をもつキリスト教が男性の同性愛を罪とみなしていたことや、エイズが他にも麻薬常用者の間で蔓延したため死に至る病気に対する恐怖とともあいまって、男性同性愛者は強烈な社会の偏見と立ち向わなければならなくなる。またエイズに感染した同性愛者は家族や友人や同僚に自らが同性愛者であることを明らかにすることを余儀なくされる。この過程でこれまでの「隠れゲイ」(In closet)としての同性愛者のあり方が急速に見直される中、90年代以降カミングアウトが急速に広まる。 一方で1980年代後半の日本ではエイズの大半が薬害エイズの関連で広まった。この過程で1995年HIV訴訟の原告の一人で当時19歳であった川田龍平が薬害エイズの責任追及の「顔」として自らのエイズ感染を社会に表明する。薬害エイズはメディアで取り上げられ、世間の注目を集めるたため、川田龍平の行為が後に「カミングアウト」として認識された。このため日本での「カミングアウト」はあくまでも社会に対してであり、家族や親友や同僚との間ではすでにその事は周知の事実である場合が殆どである。よって、欧米における「真の自分を明らかにして家族や友人と新しい誠実な関係の構築を試みる」との意味は無い。欧米でカミングアウトが世間に公表するという意味で使われる場合は大抵はリッキー・マーティンやジョージ・マイケルなどのセレブがマスコミやファンにカミングアウトする場合に使われる。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「カミングアウト」の詳細全文を読む
英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Coming out 」があります。
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