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カラコール : ウィキペディア日本語版
カラコール
カラコール(CaracoleCaracol)は、16世紀から18世紀にかけてヨーロッパ騎兵が使用した戦術。敵前にギャロップで接近し、馬上で射撃をした後に半回転して後方へ下がる機動をいう。
カラコールとはスペイン語カタツムリ、あるいは螺旋の意味である。敵前で半回転する独特の機動が、カタツムリの殻を思わせることからこのように呼ばれた。フランス語では同様にカタツムリを意味するリマソン(Limaçon)と呼ぶ。この戦術が普及したことから、カラコールは騎兵の半回転をあらわす用語となった。
== 歴史 ==

===重騎兵の没落===
中世を通してヨーロッパでは馬上槍(ランス)を持った重騎兵、いわゆる騎士が大きな力を発揮した。重騎兵の槍突撃(ランス・チャージ)は、その高い衝撃力によって歩兵の隊列を容易に崩すことができた。15世紀スイス人はパイクによる密集方陣を組んでこの脅威に対抗した。グランソンの戦いや、ナンシーの戦いなどでこの戦術は成功を収め、重騎兵の突撃を粉砕した。各国の軍隊は、このスイス槍兵の密集方陣を模倣し、あるいはまた、彼らをスイス人傭兵として雇い入れた。その後、スペインテルシオ(スペイン方陣)と呼ばれるパイクと火器を組み合わせた大方陣を開発すると、歩兵方陣の防御力はさらに強化された。こうした歩兵の変革の結果、重騎兵の槍突撃の効果は低下し、突撃を許されるのは歩兵隊列が何らかの理由で崩れたときのみとなった。
16世紀中頃、ホイールロック式ピストルを持った軽騎兵(レイター)が登場し、重騎兵をさらなる衰退に追い込んだ。ピストル騎兵は従来の槍騎兵よりも長い射程(10m弱)を持ち、接近戦で優位に立つことができたからである。ホイールロック式ピストルは、点火機構の複雑さから命中精度は高いものの装填に手間が掛かった。当初は一部の裕福な騎士が持つにとどまったが、16世紀末になると国により騎兵への配備が進んだ。17世紀になると、ホイールロック式よりも安価で構造も簡単なフリントロック式ピストルが誕生し、ピストル騎兵はますます一般的になった。ピストル騎兵が増加すると、対抗手段を持たない重騎兵は減少するしかなかった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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