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カリカチュア(英・仏: caricature、、)は、人物の性格や特徴を際立たせるために(しばしばグロテスクな)誇張や歪曲を施した人物画のこと〔。滑稽や風刺の効果を狙って描かれるため、現在ではしばしば戯画、漫画、風刺画などと訳されまた同一視されるが、もともとは16世紀イタリアに出現したと考えられる上のような技法・画風を指して使われた言葉である(イタリア語で「荷を負わす」「誇張する」を意味するが語源〔)。したがって本来は必ずしも風刺を含意するものではなく〔『まんが史の基礎問題』p.50.〕、また写実に徹した風刺画などはこの意味ではカリカチュアではない〔上田敬二「風刺画」『世界大百科事典』平凡社、2007年、第24巻 pp.336-338.〕。 多くは絵画・イラストレーションなどグラフィックな形式において用いられるが、同種類の文学的な表現に関してこの言葉が使われる場合もある。 == 歴史 == === 発祥 === 滑稽や風刺を意図して描かれた戯画、風刺画、落書の類は、例えば古代エジプトのパピルスに描かれたや古代ギリシアの民衆風刺画から中世における悪魔を描いた戯画、日本の縄文時代における線刻戯画や法隆寺の天井に残された顔の落書きなど、洋の東西を問わず古くから見られるものであり(漫画#歴史も参照)、より後代においては人物の容姿を誇張したレオナルド・ダ・ヴィンチの素描や、果物などを組み合わせて肖像画を描いたアルチンボルドなどに近代的なカリカチュアの先駆的な例が見られるが、このような誇張表現が「カリカチュア」という言葉とともに自立するようになるのは16世紀後半以降のイタリアにおいてである〔「カリカチュア」『世界美術大事典』第2巻 pp.30-32.〕。17世紀の美術史家は、『絵画用語事典』(1681年)において「カリカチュア」を以下のように定義している。「それはモデルの全体像の可能なかぎりの類似を目ざしたもので、冗談ないしは嘲笑を目的としてその人物のもつ欠点を故意に強調し、容貌の諸要素がすべて変形されているにもかかわらず、全体としてはその肖像がまさにモデルそのものであるように描かれた肖像画を指す」〔「カリカチュア」『オックスフォード西洋美術事典』pp.284-285.〕。 マニエリスムの流れの中でこのような手法を開拓し「カリカチュア」という言葉とともに初めて用いたのが、16世紀後半に活躍した画家アンニーバレ・カラッチとその画派の画家たちであった〔。彼らは生真面目な画家仕事の合間に息抜きとして、いくつかのすぐれたカリカチュアを残している〔。イタリアではその後17世紀から18世紀にかけて、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ、ジャック・カロ、ティエポロ親子(ジャン・バッティスタと)、らのデッサンや版画によってカリカチュアは大きく発展した。ベルニーニは1665年のフランス旅行の際に、その肖像画家としての腕前を披露したことによって影響を与え、カロのグロテスクな人物版画はカリカチュアの代名詞ともなった。ティエポロ親子は温和でコミカルな人物画を残し、ゲッツィはローマの美術愛好家たちの風刺的なカリカチュアを専門に描いてイギリスの画家たちにも影響を与えている〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「カリカチュア」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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