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きちがい()とは、本来は発狂した人間、端的に状態が著しく常軌を逸した人間を指す。漢字では気違い、気狂い、瘋とも表記する。また、気が違う、気が狂う、狂人、キチガイ、キ印とも表現する。動詞にすると、「気違いじみる」(自上一)などと使われる。転じて精神障害者、知的障害者、または理性が欠如した者に対する、蔑称として使われる。 == 概要 == 江戸時代に精神病の呼称として平安時代からの「物狂い」に加えて「きちがひ(幾知可比)」としてこの言葉が生まれた〔精神医学の歴史 小俣和一郎 第三文明社 ISBN 9784476012521 p120〕。当時の公文書、少なくても仕置に関する公文書(たとえば判例集の御仕置裁許帳)では、江戸時代はじめ1670年代から1680年代までは「気違」が使われていたが(のちに「乱気」や「乱心」が使われるようになる)〔 板原和子 桑原治雄 社会問題研究・第49巻第2号 2000年 p196〕、罵り言葉としてもしばしば使われる一方で、「○○キチガイ」といった表現は「○○愛好家」「○○マニア」といった肯定的な意味で使われている〔テレビ番組『ウルトラマン』の第2話(1966年)では科特隊のイデ隊員が自分自身を「宇宙語に関してはきちがいだ」と自慢するシーンがある。〕〔釣り漫画『釣りキチ三平』の「釣りキチ」とは、釣りの愛好家を指す「釣りキチガイ」の略である。〕。 テレビ等の日本のメディアで使用が忌避される単語だが、特に法律で使用が禁止されているわけではない。特に1970年代頃まではテレビや書籍、漫画などのメディア媒体や一般の会話でも日常的に使われていた。1974年以降一時期、精神障害者の家族らで構成される精神障害者家族会の会の一部から、家族は萎縮し、回復治療期に、テレビ・ラジオでこの語を聞いた精神障害者がショックを受けることにより、治癒を妨げる等の医学的根拠を理由に大阪の各放送局が激しい抗議を受けたことが発端となり、以降使用自粛につながった。テレビ・ラジオを一日中モニターする体制を整え、NHK、民放を問わず、時には団体幹部の独断でも抗議するという激しさであった〔「封印作品の謎」安藤健二 太田出版 ISBN 978-4872338874〕。このため、現在ではほとんどの放送局で放送禁止用語とされるか、あるいは放送を自粛すべき言葉とされている。これが転化して放送禁止用語=差別用語とみなされるようになった。スタジオには「気違いは禁句」と書いた紙を貼り出して誤って使用したりすることがないように努めている。例えば『新・荒野の素浪人』第22話「くノ一情話」(1974年5月28日放送)でこの語を使用していたため、放送局で最初に抗議を受けた毎日放送では謝罪し、1974年8月からスタジオに「きちがいというコトバは禁句」の掲示板を常設することになった。一般社会においても差別用語とされる。 現在ではテレビはもちろん、書籍や漫画、一般の会話でも使用されることは減っている。昔の名作ドラマや、アニメがソフト化などされる際によくこの言葉が入っているので、以前はカットされる動きがあったがボイス部分に不自然な空白(無音)が生まれるため、最近では「原作を尊重する」意味で手を加えないことも多くなっている(冒頭に「お断り」のテロップが入る)。昔の漫画や書籍が近年になって復刻される際にも、「きちがい」や「気が狂う」という表記は「気が変になる」「気がおかしくなる」など、比較的穏当な表現に差し替えられるか、全く別のセリフに置き換えられることが多い。ただし、一部の復刻本では「当時の表現を尊重」し、断り書きを載せた上であえてそのままにしている場合もある。現代の漫画や書籍においては「きちがい」と堂々と書かれることはほとんどないものの、「き○がい」など一部を伏字にした上で書かれる例もある。一方当事者らは、一部ではあるが精神障害者患者会やその会員の中には、自らをきちがいを元に造った造語「キーサン」と名乗ったり使用することがある〔『喜びも悲しみも ニクマンも一七年 』「精神病」者グループごかい 2010年2月5日閲覧。「やくざがヤーサンなら、キチガイは、キーサンだ」との記述がある。〕。 きちがいを表わすものとしてキチピー、きちぴーなどという表現も使用されたことがある。 「気」という言葉の意味は日本語的に広い解釈があり(たとえば「病気」「気が弱い」など)、「気」という物の概念の広さから、ほかの人と違う考えを持っている、あるいは若干ずれた考えを持っているという意味も含むという本来の趣旨とかけ離れ、単に世間から見て異常な行動を取る人物、または社会的に容認されない行動、もしくはその人物そのものを指す意味に(悪意的あるいは過剰的に)理解された事情もあり、この言葉を用いることにマスコミ・報道関係が過剰に反応するのはナンセンスであるという意見や、単なる言葉狩りという意見もある。沖縄国際大学の山口真也准教授はJ-CASTニュースの取材に対し、団体が言ってくる言ってこないで対応を変えるのはおかしいとし、差別とは何かをしっかり考えて言葉を使うべきとテレビなどの自主規制の方法に疑問を投げかけている。日本民間放送連盟も同じテーマの取材に答えており、「状況に応じて必要があれば使われてもいいはず」とした一方、「表現で傷つく人もいる以上放送できないのは仕方がない」と回答している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「きちがい」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Lunatic 」があります。 スポンサード リンク
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