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車内信号(しゃないしんごう)とは、鉄道の信号保安設備で、進路の開通状況を運転台に伝送して運転士が見ることができるようにしたものである。車上信号(しゃじょうしんごう)と呼ぶこともある。単純なシステムでは、単に路側の信号機の現示(緑・橙黄・赤など)を表示するだけであるが、より洗練されたシステムでは許容速度、近隣を走行中の他の列車の位置、その他の線路の開通状況に関する動的な情報を表示する機能を持っている。現代のシステムでは、速度を制御する装置(例えばATC)が車内信号に組み合わせられて用いられて、運転士に危険を警告したり、その警告を運転士が無視した場合に自動的にブレーキを掛けたりするようになっている〔''Elements of Railway Signaling'', General Railway Signal (June 1979)〕 。車内信号のための伝送技術は、コード軌道回路を用いたものからトランスポンダを用いてコミュニケーションベースの列車制御を実現しているものまである。 == 概要 == 信号システムの主な目的は、列車間に十分安全な距離をおき、速度制限を守らせることである。車内信号は、進路の脇や上に設置されて列車の動きを指示する路側信号機の改良として登場した。当初の車内信号は、単に路側信号機の現示を中継しているだけであったが、現代の車内信号では速度制御装置と組み合わせられて自動的に列車を止める機能を有している。 車内信号は当初実験的にイギリスで1910年代に、アメリカ合衆国で1920年代に、オランダで1940年代に用いられていた。日本、アメリカの北東部、イギリス、フランス、ドイツなどで運行されている高速鉄道では、車内信号を用いることが基本となっている。ただしそれぞれで方式は異なっている。 インターオペラビリティを改善する目的で、ヨーロッパでは国際規格としてERTMS(European Rail Traffic Management System)の開発が行われている。ERTMSの自動列車保安装置であるETCS(European Train Control System)は、それ以前から用いられているヨーロッパ各国の信号システムを機能的に取り込んだ仕様になっている。ドイツのIndusi、スイスのLZB、イギリスのTPWS、フランスのTVMなどは若干の変更を加えることでETCSと同等の機能を発揮することができる。 北アメリカでは、ペンシルバニア鉄道(Pennsylvania Railroad)とユニオン・スイッチ・アンド・シグナル(US&S: Union Swtich & Signal)が開発した商用周波数のコード軌道回路を用いて伝送する車内信号が北東部でのデファクトスタンダードとなっている。マサチューセッツ湾港湾局(MBTA)レッドラインやロンドン地下鉄ヴィクトリア線など、多くの高速大量輸送システムでこのシステムの改良版を使用しており、日本の新幹線で用いられた初代の信号システムの基礎にもなっている。 なお、日本においては車内信号とはその名の通り運転台に信号を現示する機能の事を指し、それによる保安装置がなくても現示が表示できれば車内信号と呼ぶ。一方で地上から伝送された情報に基づいて動く保安装置があっても、運転台に信号を現示する機能がない場合には車内信号とは呼ばない。しかし、地上から車上へ信号現示を伝送するという機能に着目して、どのような形であれ車上に情報を伝送して保安装置が動作するのであれば車上信号であるとみなす場合もあり、以下の記事ではその解釈に基づいて単なる保安装置に関する記述も含んでいる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「車内信号」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Cab signalling 」があります。 スポンサード リンク
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