|
惑星物質試料受け入れ設備(わくせいぶっしつしりょううけいれせつび)は〔当設備はキュレーション設備ないしキュレーションセンターと呼ばれることが多い。ここでは藤村(2010)に正式名称と記載されている惑星物質試料受け入れ設備を記事名とする。〕、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパス内にある一設備である。宇宙探査機によってもたらされた地球外からの物質を探査機の回収カプセルから採取し、採取した物質のカタログを作成し、初期分析を行った後に、詳細研究を行う各研究機関に配布を行い、一部の試料については保管を行うことを目的としている。 == 概要 == NASAのアポロ計画や旧ソ連のルナ計画によって、月の試料を地球上に持ち帰ることに成功したことによって、地球以外の天体から物質試料を採取して地球に持ち帰る、いわゆるサンプルリターンが開始された。 地球外からの物質を分析するためには、隕石や宇宙塵といった地球に落下する物質を調査、研究する方法もあるが、隕石や宇宙塵の分析には、どの天体からやってきたのかという起源天体を知ることが難しく、また起源天体内が判明した場合でも該当する天体のどの場所からやってきたのかという物質の出どころを知ることは極めて難しく、また地球落下時や落下後に地球上の物質による汚染や変質等を受ける度合いが大きくなるという弱点を抱えている〔。 宇宙探査機によるサンプルリターンは、技術的な困難や高コストという問題はあるが、試料が受ける地球物質による汚染を最小限に抑えることが可能であり、また探査機によって試料を採取する天体、そして天体内の場所も特定が可能であり、今後技術の進歩によって天体内の科学的に意義が大きい場所を狙ってサンプルリターンを行うことも期待される〔。 アポロ計画の後、アメリカでは1999年2月に打ち上げられ、2006年1月にヴィルト第2彗星などの試料を地球へ持ち帰ることに成功したスターダスト、2001年8月に打ち上げられ、2004年9月に地球へ帰還して、太陽風に含まれる粒子のサンプルリターンを行ったジェネシスという計画が遂行された。アメリカにはジョンソン宇宙センター内にサンプルリターンによって入手された試料を扱うキュレーション施設が存在する〔。 日本でも2003年5月に打ち上げられた小惑星探査機はやぶさによって、小惑星イトカワから採取された物質のサンプルリターンが実現されることが期待され、探査機によって地球外からもたらされる物質を適切に採取、管理、保管することを目的として、2008年3月、宇宙航空研究開発機構相模原キャンパス内に惑星間物質受け入れ設備(キュレーション設備)が完成した。 惑星間物質受け入れ設備は4階建ての総合研究棟内にある。地下機械室と2階の研究室以外の主要な設備は1階にあり、1階部分全体の大きさは24メートル×21.6メートルである。主要設備内は惑星試料情報処理室、クリーンルーム運用室、加工・洗浄室、更衣室、試料準備室、電子顕微鏡室、惑星試料処理室の7室に分けられている〔〔山根(2010)p.229〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「惑星物質試料受け入れ設備」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|