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クラメールのパラドックス (Cramer's paradox) とは、任意の平面代数曲線を一意に決定する点の個数に関するパラドックスである。最初に提唱したのはコリン・マクローリンとされるが、その方面での研究を行ったスイスの数学者ガブリエル・クラメールの名が冠されている。 == パラドックスの内容 == 例えば、2点を通る一次曲線(直線)は一意に定まり、5点を通る二次曲線は一意に定まる。そこで、一般に ''n'' 次曲線は何個の点を与えれば一意に定まるか、という問題が考えられる。少しの考察からは、矛盾する次のふたつの結論が得られる。 # 平面代数曲線は ''Ay''''n'' + (''B'' + ''Cx'') ''y''''n''-1 + (''D'' + ''Ex'' + ''Fx''2) ''y''''n''-2 + (''G'' + ''Hx'' + ''Jx''2 + ''Kx''3) ''y''''n''-3 + etc. = 0 と書けるため、係数をすべて求めるためには ''n'' (''n'' + 3)/2 個の方程式が必要となる〔係数の個数は 1 + 2 + 3 + … + (''n'' + 1) = (''n'' + 1)(''n'' + 2)/2 であるが、全ての係数を一斉に定数倍した方程式は同じ代数曲線を定めるため、方程式の個数はそれよりもひとつ少なくてよい。〕。つまり、''n'' (''n'' + 3)/2 個の点が ''n'' 次の平面代数曲線を一意に決定するであろう。 # 二つの ''n'' 次の平面代数曲線において、''n''2 回交わることができるものが存在する。つまり、これらの ''n''2 個の点を通る曲線は少なくとも2本存在する。したがって、これら一方の曲線を決定するためには、これらの ''n''2 個の点では十分でなく、それより多くの点が必要であろう。 例えば、任意の3次平面代数曲線を一意に決定するためには、前者に従えば9個の点で十分であるが、後者に従えば9個より多くの点を必要とする曲線が存在する。 現代からすれば、これはパラドックスではなく、別の条件が必要となることが容易にわかる。数学史上においては、レオンハルト・オイラーによって解決された〔Euler, L. 'Sur une contradiction apparente dans la doctrine des lignes courbes' Mémoire de l'Académie des sciences de Berlin (1748), 1750, pp. 219 - 233. The Euler archive で閲覧可能。Index number E147〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「クラメールのパラドックス」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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