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クレンアーキオータ(Crenarchaeota、エオサイト/Eocyte、クレンアーキア/Crenarchaea)は、好熱菌を中心とした古細菌の分類群である。27属57種の菌が含まれ、正式に発表されている古細菌のおおよそ2割弱を占める。 他の古細菌グループとは、基本的に16S rRNA系統解析によって区別される。進化速度が遅く、古細菌の祖先的な形質を残していると考えられたことから、ギリシャ語のκρηνη(ラテン文字:Crene、意味:泉・源泉)に因んで命名された。 == 特徴 == 元々系統解析により設定された門であり、表面的な性質はユリアーキオータ門に属すテルモコックス綱やアルカエオグロブス綱とそれほど差はない。多くが超好熱菌や好熱好酸菌に占められ、水素や硫黄を酸化、あるいは従属栄養的に増殖するものが多い。典型的な例としては、好熱好酸好気性で硫黄を酸化する''Sulfolobus''、110で増殖する嫌気性の''Pyrodictium''などが知られている。 固有の形質としては、ユリアーキオータと異なり、ヒストンを持たないことが指摘されてきた。全ゲノムが解読されているクレンアーキオータ17種のうち、ヒストンと相同性のある遺伝子を持つのはテルモプロテウス目3種のみである。また、殆どの原核生物に保存されているFtsZも(1種を除いて)保有していない。細胞分裂については、2008年に別々の研究グループから、真核生物がエンドソーム小胞を形成する時と同様の機構(ESCRT複合体)を使うという報告がなされている。ただしテルモプロテウス目はFtsZもESCRT複合体も持たない。テルモプロテウス目はアクチンを用いた細胞分裂機構を持つと予想されている〔生化学第86巻第1号, pp. 59-62(2014)〕。 この他、ユリアーキオータとの比較では、古細菌型DNA複製酵素Pol Dを持たない、リボソーム〔リボソームタンパクは68種であり、原核生物最多である。内訳は全生物に共通するものが34種、真核生物と古細菌に共通するものが28種、真核生物とクレンアーキオータに共通するものが5種、クレンアーキオータとユリアーキオータに共通するものが1種〕やRNAポリメラーゼ〔RpoG(真核生物のRpb6に相当)の存在〕のサブユニット数が多いなどの差異がある。細胞壁はユリアーキオータほど多様ではなく、''Ignicoccus''1属(細胞壁をもたない)を除き、S層が担う。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「クレンアーキオータ門」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Crenarchaeota 」があります。 スポンサード リンク
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