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クロストリジウム属
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クロストリジウム属 : ウィキペディア日本語版
クロストリジウム属[くろすとりじうむぞく]

クロストリジウム属(''Clostridium'')は、真正細菌の一である。偏性嫌気性芽胞を形成するグラム陽性桿菌である〔〔。この属名は、ギリシャ語のkloth(捻じれ)から派生したklostridion(小さい捻じれたもの)から来ており、ラテン語化するとClostridium となる〔。
クロストリジウム属の菌は、土壌内部や生物の内などの酸素濃度が低い環境に生息する偏性嫌気性菌であり、酸素存在下では増殖できない。一般に偏性嫌気性菌は、スーパーオキシドディスムターゼカタラーゼなどの活性酸素を無毒化する酵素を持たないため、酸素がある通常の環境下では不活化するが、クロストリジウム属の菌は酸素存在下で、耐久性の高い芽胞を作って休眠することで、死滅を免れることができる。この性質から、他の偏性嫌気性菌が生き残れない状態でも生き残るため、偏性嫌気性菌の中では比較的古くからその存在が発見され、研究が進められてきた。
ハイム・ワイツマン(後にイスラエル初代大統領)による1919年の特許〔によりデンプンから発酵によって工業的な規模でのアセトンブタノール生産が可能になったが、この発酵に用いられたのもクロストリディウムであり、第一次世界大戦中は燃料や火薬の原材料として破砕したトウモロコシからアセトンを生産していた。この発酵生産法は化学合成法が発達する1950年代まで、アセトンやブタノールの主な生産法であった。
206種 (分類学)と5亜種が知られている〔〔。
== 病原性クロストリジウム属菌 ==
次のクロストリジウム属5種はヒトに対する病原性を有する。
; ''C. botulinum''(クロストリジウム・ボツリヌム)
: ボツリヌス菌。土壌中などの自然環境中に広く存在。ソーセージ真空パックの食品中や傷口内で、ボツリヌス中毒を引き起こすボツリヌストキシンを産生する〔。蜂蜜などに''C. botulinum''の芽胞が入り込んだ場合、1才未満のヒト(乳児)に対するボツリヌス中毒(乳児ボツリヌス症)の感染源となる。その場合、最終的に乳児の呼吸関連の筋肉を麻痺させる〔。ある程度以上の年齢なら、他の細菌が消化器官に生息するようになりその細菌との競合に''C. botulinum''は生育速度の差で勝てないために、''C. botulinum''で汚染された蜂蜜を食べても問題はない。このような毒性の一方で、''C. botulinum''は商業上も利用されている。
; ''C. tetani''(クロストリジウム・テタニ)
: 破傷風菌。土壌中に芽胞の形で多く存在する。傷口から感染し、テタヌストキシンを産生して破傷風の原因になる〔。名前の由来は、破傷風が激しい痙攣を伴うことから、ギリシャ語で「筋肉の緊張」を意味するおよび「伸びる」を意味するτείνεινである〔。
; ''C. difficile''(クロストリジウム・ディフィシレ)
: ヒトや動物の腸内に生息。抗生物質に比較的抵抗性で、抗生物質大量投与時に、他の腸内細菌が死滅したときに過剰に増殖して(菌交代症)、偽膜性大腸炎の原因になる〔〔。
; ''C. perfringens''(クロストリジウム・パーフリンゲンス)
: ウェルシュ菌。以前では''C. welchii''と呼称されていた。ヒトや動物の腸内に生息する常在菌の一種だが、一部の菌種は毒素を産生して、食中毒の原因になる。また傷口に感染して、重篤なガス壊疽を起こす事もある。また、ヤギにおいては、エンテロトキセミア(過食症または髄様腎臓病)の原因となる〔。''C. perfringens''はまた、酵母の代替としてソルトライジングブレッドの発酵に用いることができる。クロストリジウム属の中では例外的に、鞭毛を持たない。
; ''C. sordellii''(クロストリジウム・ソルデリ)
: 中絶後に非常にまれに致命的な感染症を引き起こす〔。2000年以降、年間一見未満で報告されている〔。また、中国料理の珍味のアナツバメの巣で見出されることがある。このため、アメリカ合衆国に輸出する前にアナツバメの巣は亜硫酸で殺菌処理される〔。
このほか、''C. novyi''や''C. septicum''などのガス壊疽菌群は傷口に感染して、重篤なガス壊疽を起こす。ガス壊疽が発生した際に、外科的な切除、抗菌薬の投与に加えて、クロストリジウム属が偏性嫌気性であることを利用して高気圧酸素治療が試みられることもある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「クロストリジウム属」の詳細全文を読む



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