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ゲノム編集 : ウィキペディア日本語版
ゲノム編集

ゲノム編集:genome editing)とは、部位特異的なヌクレアーゼを利用して、思い通りに標的遺伝子を改変する技術である。ヌクレアーゼとしては、2005年以降に開発・発見された、
ZFN
(ズィーエフエヌ、または、ジンクフィンガーヌクレアーゼ)、TALEN(タレン)、CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)を中心としている。従来の遺伝子工学遺伝子治療と比較して、非常に応用範囲が広い。2015年にはCRISPR/Cas9を用いた世界初のヒト受精卵の遺伝子操作が中華人民共和国で行われ、国際的な波紋を起こした。これにより2015年現在、ヒト受精卵に対するゲノム編集技術の倫理的規制が新たな課題となっている。
なお、中華人民共和国のJunjiu Huang(黄軍就)らが使ったのは、不妊治療の過程で体外受精で作られた受精卵であった。すべての受精卵について、2つの精子が受精した異常なもので、正常には発育しないため廃棄されるものであった。狙った遺伝子を思い通りに書きかえられたのは86個中たった4個で、望んでいない書きかえ、つまりオフターゲットが起きていた受精卵もみられた。そのため、Huangらの論文では技術的な改善の必要性を結論づけている。
倫理的問題はともかくとして、HuangはNature誌により2015年の10人に選ばれた。
==概要==
ゲノム編集のためのヌクレアーゼとして、ZFN(Zinc-Finger Nuclease)、TALEN(Transcription Activator-Like Effector Nuclease)、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)/Cas9(Crispr ASsociated protein 9)〔が挙げられる。遺伝子工学の文脈でのCRISPR/Cas9は、原核生物において発見された獲得免疫機構としてのCRISPR/Casシステムのうち、Cas9と呼ばれるヌクレアーゼ(英語版)を、標的とするDNA配列を認識させるためのガイドRNA上の配列と共に利用して、DNAの改変に応用したものである。
これらのヌクレアーゼに共通する特徴は、DNA二本鎖の損傷(Double Strand Break : DSB)を作る、つまりDNAを構成する2重螺旋の両方の鎖を切断することである。それを切断部前後の配列を認識して部位特異的に行うことによって、人工酵素はDNAの改変を可能としている。その切断の後、DNA修復の機構として非相同末端結合(NHEJ)か、相同組換え修復(Homology Directed Repair : HDR)が起こる。更にドナーとなる断片を与えればドナー込みのHDRとなり、遺伝子への特定配列のノックイン、また、ノックアウトのどちらにも応用が効く。
3つの人工酵素の中で特に高効率とされているのはCRISPR/Cas9で、2015年時点で研究の主流である〔。高効率であることの代償として、CRISPR/Cas9では標的部位ではない場所を改変するオフターゲットと呼ばれる欠点が大きい。これが生じるとがんといった疾患を発症する恐れがあるため、この欠点を克服するための研究も進展中である。
オフターゲットの大小は、NHEJか、HDRであるかによっても異なる。HDRの方がNHEJよりもオフターゲットとして安全だが、手間がかかるし、互いに使用条件が限られる。
ゲノム編集技術はネイチャー・メソッズ誌において2011年のメソッズ・オブ・ザ・イヤーに輝いた。2015年にはCRISPR/Cas9の研究がノーベル賞候補と言われていた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ゲノム編集」の詳細全文を読む



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