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コーポレート・ガバナンス (英:corporate governance) とは、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組み〔日本経済団体連合会「我が国におけるコーポレート・ガバナンス制度のあり方について」2006年6月20日。〕。企業統治(きぎょうとうち)とも訳される。 首脳部で決定された方策をいかに実行するかはマネジメント(運営)、その運営状況をいかに管理・監督するかは内部統制(内部管理・監督、Internal control)、さらに企業のシステムが健全に機能しているかを審査するのは監査(内部監査と外部監査に別れる)という。また昨今のグローバル化による事業環境の変化の速さから、広義では自社の内部統制だけでなく、外部環境である経済情勢やパートナーの動向に対する監視を行うことで、自社に与える利害、リスクを分析し対処することも指す場合がある。 == 概要 == === 背景 === 資本主義における経済活動において、株式会社という組織は大きな地位を占め、その活動は株式会社の真の所有者である株主や消費者、従業員、取引先、系列会社、債権者(銀行や社債保持者、掛売元など)さらに広義には地元の市民など社会全般に大きな影響を与える。特に近年では企業の巨大化および多国籍化が進行しているため、その影響が絶大さらに広範囲に及び、企業の適切で健全な運営は現代社会の発展における大きな課題の一つとなっている。 企業の統治において特に問題となるのは、その数において分散および分断されている株主や他の利害関係者(ステークホルダー)に対して、実際に企業を運営しその内容の実情を直接に知っている経営陣が強い立場にあることで、そのため前者にとってその正当な権利の主張およびその行使が非常に難しいという構造上の問題が存在することである。さらにその問題を複雑にする背景には、前述の利害関係者の目的は多くの場合に相反することがある。 例えば、株主としては会社の利益の最大化が最も望ましいが、仮に営利のみが企業の運営目的となれば、消費者や労働者や取引先、さらには地元周辺の住民の権利および福祉が損なわれることになる。また株主は株価の上昇を求め短期のリスクの高い経営方針を求めるが、銀行側や取引先としては融資の安全性を第一とするため、リスクが低く成長性の低い経営方針の採用を求めることが考えられる。 さらには経営陣としては、企業の拡大によるポストの拡大や報酬の上昇、または競合企業に対する対抗意識などから拡大政策を追求することも考えられるが、これが利益無き拡大の追求となる可能性がある。さらに社長や会長が絶大な権力を握ってしまった場合は、会社の運営や意思決定が一個人の独断で行われ、誤った経営判断に対する責任の明確化およびその修正が行われないだけでなく、悪質な場合は個人の私欲を肥やすためだけの経営が行われ、不祥事に発展しかねない。 また社外の人間は会社の運営に直接にかかわらないため、会社の内情や実情の情報の提供を基本的に企業側に依存することになる。この「情報の非対称性」が、経営陣外の利害関係者の権利行使の障害となるだけでなく場合によっては経営側の背任の温床ともなりうる。 このような組織上の根本的な問題や矛盾を最小化し、企業が株主および他の利害関係者の要求を満たしながら企業の第一目的である「富の創造」を効率的に実行し、経済および社会の発展に貢献するように運営されることを目指すのが、企業統治の意義である。 1960年代のアメリカで、「企業の非倫理的・非人道的な行動を抑止すべきである」という文脈で用いられるようになり、次第に粉飾決算など投資家から見た企業不祥事を防ぐためにどうするかという意味でも使われるようになった。さらに、企業価値・株主価値を増大させるためにいかに企業組織を構築するかという意味も加わるようになった。1980年代から1990年代のアメリカでは、企業買収が進んだことや、機関投資家の発言力が強まったことにより、コーポレート・ガバナンスへの関心が高まった。1990年代以降は、ヨーロッパ諸国や日本でも、多数の企業不祥事が発覚するとともに、経済的な成熟あるいは停滞が続く中、コーポレート・ガバナンスが注目されるようになった(⇒#歴史)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「コーポレート・ガバナンス」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Corporate governance 」があります。 スポンサード リンク
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