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サラワケット越え : ウィキペディア日本語版
サラワケット越え[さらわけっとこえ]

サラワケット越え( ‐ ごえ)は、太平洋戦争大東亜戦争)のニューギニア戦役における、日本軍第51師団ラエからの転進作戦である。
1943年9月、ラエで包囲された第51師団は、標高4100メートルのサラワケット山系を越えて転進した。転進には成功したものの、約1か月をかけた山越えは数多くの犠牲者を伴った。
== 背景 ==
1943年9月、東部ニューギニアのラエ周辺で戦ってきた日本軍第18軍第51師団(「基」兵団)は、ラエ・サラモアの戦いに敗れ、制海権制空権も完全に奪われてオーストラリア軍第3、第7、第9師団に包囲される形となった。第51師団長中野英光中将は一時は玉砕を決心したが、第18軍の安達二十三軍司令官は玉砕を許さず、第51師団に対して転進を命じた。
転進経路としては、マーカム川を遡りマダンに至るルートと、フォン半島の脊梁山脈であるサラワケット山系を越えて半島北岸のキアリに至るルートとが考えられた。前者は、制空権を奪われている状況では、マーカム川沿いに降下したオーストラリア軍に側面を衝かれ全滅させられる危険がある。後者は、オーストラリア軍の追撃をかわすことができるが、標高4,100メートルのサラワケット山系を越える道である。直線距離にすればラエからキアリまで120キロであるが、ジャングル湿地帯や断崖峡谷を越えて、道なき道を進むとすれば、距離は2倍から3倍にもなると予想せねばならない。
日本軍の中には過去に一度サラワケット山系を越えた小隊がいた。1943年3月半ば、ラバウルからラエへの増援を企図した第八十一号作戦が失敗(ビスマルク海海戦)したため、日本軍はフォン半島北岸からサラワケット山系を越えてラエへの補給が可能かどうか調査を行うこととし、ニューブリテン島ツルブで飛行場建設中だった独立工兵第30連隊の連隊長村井荘次郎中佐は、北本正路少尉を隊長とする50名の特別工作隊を派遣した。北本少尉は慶應義塾大学競走部出身。昭和7年(1932年)に開催されたロサンゼルスオリンピックの陸上競技10000mに日本代表として出場、また、同年の箱根駅伝では慶應義塾大学を優勝に導いた選手であった。
北本工作隊50人は3月13日にツルブを出発、キアリまで航行し、ここで酋長ラボに出会いその協力を得た。キアリで出合った原住民から「100人はムリだけど50人ならなんとかなる」と運搬夫の応援を得て〔pp.36–40 『栄光マラソン部隊』〕、サラワケット越えの山岳地帯に入った 。また、オランダ兵にまもなく身柄確保されることを覚悟した現地ドイツ人宣教師ウイッシュマンからキアリ~ラエ間の山岳地図そしてロープなど登山用具一式を譲渡された。この幸運がなければ工作隊に踏破は不可能だったと回想された。現地住民ポーター50人は部落間ごとに交替して担当するため、各部落の酋長10人あまりに集合してもらい協力を依頼した。進むにつれて地形は想像を絶するものとなった。切り立ったような断崖や岩場を、北出一等兵(北本工作隊の項参照)の一人活躍による簡易の応急架橋と、ロープを伝って通り抜けた。山頂手前の前夜は赤道直下にもかかわらず氷点下の気温となり、全員固まって夜を明かし腰巻を身につけているだけの原住民は寒さに震えた。頂上では旗をたてて万歳三唱、ラバウル司令部に登頂成功を打電した。現地住民ポーターたちもシンシン踊りで歓喜した〔pp.42–44 『栄光マラソン部隊』〕。ラエに無事到着したのは4月3日、出発してから22日目であった。北本少尉は、サラワケット越えは補給路としては使えないが兵隊が越えられない道ではないと報告し、またその健脚ぶりによって山中の原住民からも尊敬を受け、友好関係も結んだ。
中野師団長はサラワケット越えの経路を選択した。同行する部隊は、第51師団(歩兵第66第102第115連隊、工兵第51連隊、野砲兵第14連隊、輜重兵第51連隊基幹)、第41師団歩兵第238連隊の一部、南海支隊の生き残り(独立工兵第15連隊)、独立工兵第30連隊、海軍の第7根拠地隊佐世保第5特別陸戦隊などであった。人数は第51師団が3900名、他部隊2100名、海軍2500名、総勢8500名であった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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