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サーロイン : ウィキペディア日本語版
牛肉[ぎゅうにく]

牛肉(ぎゅうにく)は、ウシ
ビーフ( 欧米ではは仔牛肉()とは別の概念である〔メインディッシュ・肉 〕)ともいう。
== 概要 ==


食用に処理されたウシの肉をいう。肉牛品種(黒毛和牛など)の肉が多いが、廃乳牛や去勢し肥育した乳牛の肉も売られている。
ウシは、ほぼすべての部位の肉を食べることが可能とされている(ただし近年では、健康なウシの場合は問題がないものの、一部にBSE問題に鑑みて食用とし難い危険部位が存在する)。加熱して食すほか、ステーキでは熱で蛋白質が変質しきらない状態で食べるレアやミディアムなどの焼き加減があり、刺身として生食する場合もある。ただし、牛は人間を終宿主とする寄生虫の一種である無鉤条虫の中間宿主であり、幼虫(無鉤嚢虫)は主に牛の筋肉に寄生している。そのため牛肉を生や、それに近い状態で食べることは、寄生虫感染のリスクを伴う。一般的に、60℃以上に加熱または-10℃以下で10日以上冷凍した肉は安全とされる。また、日本では生レバーも食用にされるが、健康な牛に於いても約10%程度がカンピロバクターを保菌している事が厚生労働省の研究班から報告されており、食中毒のリスクを伴う。
西洋料理のタルタルステーキカルパッチョなど、一部の食文化では牛肉の生食に薬味を添える習慣もある。この薬味によって寄生虫や食中毒のリスクを軽減させているといわれるが科学的な根拠はない。強いていえば薄く切る、また叩くことで寄生虫のリスクを減らすことができる可能性がある。
牛肉は他の食用肉と比べ冷凍保存に向き、冷凍庫で凍結させることで家庭用冷蔵庫(2ドア)なら半年、業務用冷凍庫なら1年は保つとされている。これは一般に鶏肉豚肉を得る上での肥育期間が牛肉を得る上での肥育期間に比べて短いため、それらの肉は筋繊維の構造が急激な肥育で牛肉に比べてほぐれやすくなっている点に関連付けられている。
なおヒンドゥー教では牛が神聖な動物であるとされ、牛肉の食用を禁じている。そのため大抵のヒンドゥー教徒は、牛を農耕と牛乳生産へ利用こそすれ、食用として肥育されていない。
日本では645年大化元年)に牛馬を生贄(いけにえ)にした例(『日本書紀』皇極天皇元年)などもある。また675年天武天皇5年)4月17日 (旧暦)のいわゆる肉食禁止令(『日本書紀』)で、4月1日 (旧暦)から9月30日までの間、稚魚の保護と五畜(牛・馬・犬・ニホンザル・ニワトリ)の肉食を禁止されていた。戦国時代にはキリスト教イエズス会宣教師キリシタン大名をはじめ松永貞徳著『慰草』(1652年)によると京都などでもひろくワカ()として牛が食べられていた。豊臣秀吉小田原征伐の時、高山右近蒲生氏郷細川忠興とともに牛を食べている。江戸時代1690年(元禄3年)近江彦根藩は「牛肉味噌漬」を「薬喰い」として作り売っていた。健康増進や病人の養生のために食用されていたが、食用家畜として飼育されている牛は皆無だったことから、極めて高価な「薬」であったらしい。ただし廃用農耕牛は肉質は硬いが毒があるわけではなく、実際にはこれが食用に回されていた。彦根藩主井伊家は毎年徳川将軍家(江戸)と徳川御三家(名古屋、和歌山、水戸)に「牛肉味噌漬」などを献上していた。また、同時代には牛肉の栄養に着目、寒い時期に乾肉を生産していた。江戸ではももんじ屋などで食べるようになった。幕末期、桑名藩藩士が記した『桑名日記』には、孫に牛肉を買ってきて食べさせたという記述があり、せがまれた末に4日間も食べさせたと記されており、当時から美味として知られていた〔本田豊 『絵が語る 知らなかった江戸のくらし 農山漁民の巻』 遊子館 2009年 p.54.〕。
本格的に牛肉が食べられ始めたのは、明治文明開化以降であり、牛なべ屋(すき焼き)が流行した。また、1872年明治5年)1月24日明治天皇が牛肉を食べたといわれているが、皇族用の御料牧場では肉牛は飼養管理されていない(2011年現在)。この日本での牛肉事情であるが、国産牛肉が一頭ずつ大切に肥育する飼育方法が長らく採られていたため、従来は豚肉よりも高価な肉とされていた。しかし1991年平成3年)4月からの牛肉の輸入自由化によって日本国外から安価な牛肉が入ってくるようになったため、家庭の食卓に頻繁に上るようにもなっている。日本各地の豚肉消費量は一定であるが、関西地方は牛肉の一世帯当りの購入額が多く、その分「豚肉」が少ない。なお、関西では、「肉」といえば牛肉の事を指す。ちなみに、日本の市町村で牛肉の消費量が最も多いのは和歌山市である。
一方、サーロインのサーは文字通り、サー(英語:sir)、つまり、爵位を意味し、時の国王がそれを食した時にあまりにもおいしいことから騎士(英語:knight)の称号をその部位に与えたことを由来される。その後、この名称が定着した。
フランスをはじめ欧米では成牛肉(フランス語: ブッフ bœuf:生きた牛と死んだ牛の肉両方を指す)と、子牛肉(フランス語: ヴォー veau)は異なる流通ルートであり、料理への利用も区別されるのが一般的である。子牛肉は総じてどの部位も赤みが少なく柔らかいのが特徴である。
仏語のブッフから来る英語のビーフが「生きた牛」でなく「死んだ牛の肉」を指すのは、ノルマン・コンクエスト後にイングランドを支配したフランス人上流階級(上流階級なのでイングランドで生きた牛に触れることはまず無い)が牛肉を「ビュフ」と称し、それを見たイングランド人が牛の死肉を「ビーフ」と呼び始めたことに由来する。ちなみに豚肉をポークと称するのも同様の理由からである。逆に鶏肉はチキンとよばれ、生体と食肉で同語であるが、これは被支配者階級でも鶏肉を食する事ができたからである。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「牛肉」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Beef 」があります。



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