|
ザクースキ(ロシア語:Закуски、Zakuski 単数形はザクースカ、ロシア語:Закуска、Zakuska)は、ロシア料理やウクライナ料理で提供されるビュッフェ形式の前菜である。フルコースのロシア料理では、多くのザクースカが食卓に並べられる。ザクースカの特徴としては種類が豊富であることと、それぞれの皿に盛りつけられる料理が多量であることが挙げられる〔沼野、沼野『ロシア』、p61〕〔小町『ロシアおいしい味めぐり』、p47〕。ザクースカと共にテーブルに置かれたウォッカを飲むのが通例となっている〔中村「ザクースカ」『ロシアを知る事典』、p293〕。 料理の種類は肉類、魚、野菜、乳製品に大別されるが、燻製の肉とサラダが特に多い〔。ザクースカの種類の多くを占めるのは冷菜であるが、ザクースカにはピロシキやブリヌイなどの温菜も含まれる。 名称はロシア語で「軽くつまむ」という意味の「ザクシーチ」に由来する〔荻野、沼野『家庭で作れるロシア料理 ダーチャの菜園の恵みがいっぱい!』、p45〕 〔小町『ロシアおいしい味めぐり』、p43〕。18世紀初頭のロシアでは「ザクースカ」は「朝食」の同義語として使用されることが多く、当時の朝食は前日の焼き物などの残り物を温めずにそのまま出していた〔沼野、沼野『ロシア』、p60〕。そのため、18世紀半ばに「ザクースカ」の語は「冷菜」の総称として使われるようになったと考えられている〔。 == 歴史 == ロシア帝国の時代に〔21世紀研究会編『食の世界地図』(文春新書, 文藝春秋, 2004年5月)、p328〕ザクースキは地方の地主、もしくは家庭の食卓から生まれたと考えられている〔〔パパシヴィリ、パパシヴィリ『ロシア料理』、p24〕。寒さと悪路の中をやってくる到着時間が分からない来客のため、招待者はディナーが準備できるまでの間に作り置きの料理で来客をもてなした〔〔。初期のザクースキは来客に提供される「食事」が供されるダイニングルームとは別の部屋(もしくは別のテーブル)に置かれており、「食事」のメニューには含まれていなかった〔。他のヨーロッパの国からロシアを訪れた旅行者は、食事の前に料理が出される習慣に驚き〔小町『ロシアおいしい味めぐり』、p42〕、中にはザクースキを「食事」と間違い食べ過ぎる者もいた〔。 時代が経つにつれてザクースカの品目が増え、豪華な食材が使用されるようになった〔。18世紀末から19世紀に入ると、ロシアで雇われた外国人の料理人の影響を受けて、ドイツ料理やフランス料理で出されるオードブルの冷菜がザクースカに加わり、ドイツ風のオープンサンドやフランスとオランダのチーズがテーブルに並ぶようになる〔沼野、沼野『ロシア』、p61,202〕。フランス料理から輸入された料理の一つにパテがあり、当時のロシア人たちはそれぞれの家や店で出すパテの味を自慢しあった〔小町『ロシアおいしい味めぐり』、p50〕。1890年代になると料理の盛り付けに趣向が凝らされるようになり、ヒナギクの花をかたどったニンジンやユリの花を模した無塩バターなどが料理の飾りつけに使用された〔パパシヴィリ、パパシヴィリ『ロシア料理』、p24,26〕。また、個々のザクースカが盛りつけられた皿の配置も、料理の味と色彩を考慮しての工夫が凝らされた〔パパシヴィリ、パパシヴィリ『ロシア料理』、pp26-27〕。 1900年代初頭にはザクースキを食べた後に一度外出し、帰宅した後に食事を再開するスタイルが流行した〔パパシヴィリ、パパシヴィリ『ロシア料理』、p27〕。同時期、冷菜で占められていたザクースキにミートボール、フォルシュマークなどの温菜が出るようになる〔。ザクースカが発達した19世紀末から20世紀初頭に、ザクースキはコース料理の最初に出される「食事」の一部に位置付けられた〔。 ロシア革命後、かつて富裕層が用意した豪奢なザクースキは過去の物となった。現在の少人数の集まりでは、冷菜4品、温菜1品が普通である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ザクースキ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Zakuski 」があります。 スポンサード リンク
|