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分岐器[ぶんきき]

分岐器(ぶんきき〔日本国語大辞典(小学館)〕、ぶんぎき〔日本大百科全書(小学館)〕、)とは、鉄道線路において線路を分岐させ、車両の進路を選択する機構。アメリカ英語での正式名称は、ターンアウトスイッチ。アメリカでは、分岐器のうち、進路を転換する部分のことをポイント (point) というが、英国および英国から鉄道を導入した国々では、分岐器全体のことをポイントと呼ぶ。
== 構造 ==

分岐器は一般的に1線の線路を2線(またはそれ以上)に分岐させるものであり、下記の4つの部位から成る。1線側を前端、2線側を後端と称する。
; ポイント部
: 右図 (1) 。トングレール(列車を分岐させる先の尖ったレールのこと)およびトングレールが密着する基本レール部分を指す。ポイント部には、ポイント後端を支点に先の尖ったレールを動かす先端ポイントとポイント前端を支点に先が尖ってない普通のレールを動かす鈍端ポイントがある。また、トングレールの線形は直線進路用は直線、分岐進路用は円曲線が普通となっている。
; リード部
: 右図 (2) 。トングレールとクロッシング部を結ぶ部分を指す。一般的に、分岐線側はリード部が曲線となる。この曲線半径をリード半径と呼び、リード半径の大小が分岐器の列車通過制限速度を決定する大きな要因となる。
; クロッシング部
: 右図 (3) 。分岐器でレールが交差している部分を指す。内方分岐と外方分岐以外のクロッシング部は、通常は直線になっているが、曲線半径を大きくするためにクロッシング部を曲線にした曲線クロッシングもある。クロッシング部には、固定クロッシングと可動クロッシングがあり、前者の方は、ノーズ部分を普通のレールを削成して組合わせ、車輪のフランジが通る隙間を設けたものであり〔この部分は、ウイングレール(翼レール)、鼻端長レール、鼻端短レールを組合せており、間隔材と填材が取付けられているほか、ストックレールにはガードレールが取付けられている。〕、後者の方はノーズ部分を車輪の進行方向に可動できるようにしたものである。
; ガード部
: クロッシング部の相手方のレール部分に列車が異線進入するのを防ぐために設けてあるガードレール部を指す。
専門的には、たとえば「弾性分岐器」といえば弾性ポイントを使用した分岐器全体を指し、「弾性ポイント」といえば上記4部位のうちの「ポイント部」だけを指す。
分岐器は通常、図に示したような構造になっている。黒線はストックレール(基本レール)、茶色の線はトングレール(先端軌条)、赤線はリードレール、紫の線はウィングレール、青線はガードレール(護輪軌条:ごりんきじょう)、オレンジ色の線は主レール、緑線はノーズ(鼻端レール)またはフログ(轍叉・てっさ)と呼ばれる。進路変更をするときは、トングレールを分岐側と反対側のストックレールに移動する。なお、弾性分岐器では、トングレールとリードレールとウィングレールが一体化されている。
分岐器は、通常はある一定の方向(本線)に列車を進入させるようになっている。これを定位という。また、通常とは異なる方向(副本線)に列車が進入するようになっていることを反位という。また列車が分岐器の分岐する方向に向かうことを対向と言い、列車が分岐器の合流する方向に向かうことを背向と言う。
ノーズ付近に見られるすき間は車輪のフランジがスムーズに通過できるように設けられたもので、フランジウェイと呼ぶ。磨耗防止〔この部分は、車輪のフランジが通過するため、磨耗し易く、そのため、普通クロッシングの約10倍の耐久性を持つ、一体式で鋳造により製造された高マンガン鋼クロッシングが採用されている所があり、高速走行に対応している場合がある。〕とこのすき間による他線への誤進入を防ぐため通過する車両は減速を強いられるが、ノーズまたはウィングレールを可動式にしてウィングレール(ノーズ)に密着させ、高速通過を確実にしているものもあり、主に新幹線で多用されている〔日本での採用例:北越急行ほくほく線の全線、京浜急行電鉄生麦駅)、近畿日本鉄道上鳥羽口駅非常渡り線)、東京急行電鉄田園都市線あざみ野駅および東横線目黒線武蔵小杉駅非常渡り線、大井町線上野毛駅、同線溝の口駅渡り線)、京王電鉄京王線飛田給駅)、小田急電鉄小田原線秦野駅)、京成電鉄(成田スカイアクセス成田湯川駅)。かつては特急列車が多数運転されていた東北本線の一部の駅にも採用されていたが、東北新幹線開通に伴う東北本線特急列車の削減によって全て通常の分岐器に交換された。〕。その場合、ノーズ(ウィングレール)はトングレールと連動するようになっている。

ファイル:可動ノーズ式分岐器(成田湯川駅ホームから撮影).jpg|ノーズ可動クロッシング分岐器の本線に合流の状態(反位)。手前のレールの間にある開通方向表示器は開通を表示している。
ファイル:Bunnki NO1.JPG|ノーズ可動クロッシング分岐器の本線通過の状態(定位)。手前のレールの間にある開通方向表示器は非開通を表示している。

右に可動式ノーズ(ノーズ可動クロッシング)の概略図を示す。このうち水色のレールが緑色のレールを軸にして動くことによって、フランジウェイを塞いでいる(図では直進の場合のフログの状態)〔その為、転轍器をポイント部とクロッシング部に2つ設置する。〕。異線進入のリスクが小さいので、クロッシング部のガードレールが省略されることがある。可動式ノーズは、在来線では(北越急行ほくほく線京成成田スカイアクセスを除いて)高速で通過する箇所に設置されているものは少ないが〔例えば東京急行電鉄あざみ野駅は優等列車も停車する駅であり、上下線ともに減速が強いられるが、それにもかかわらずノーズ可動クロッシングが用いられている。また上野毛駅のものは、優等列車でもあまり速度を出さずに通過している。〕、高速で通過する箇所では、さらにトングレールとリードレールを一体化して、たわませる構造としている。基本レールとトングレールとの間が密着(接着とも言う)せず隙間があると、高速走行に支障を与えるため、その2本のレールが密着してるかどうかを監視する接着照査器〔機械式とME(マイクロエレクトロニクス)式の2つがあり、接着状態情報(接着・非接着)で分岐器の定位と反位を検知して連動装置に出力するとともに、基本レールとトングレールとの間の隙間が許容値を超えている場合は、分岐器を転換不能として検知するようになっている。〕を基本レールの外側に2台ずつ設置するとともに、分岐器の開通方向を表示する開通方向表示器をクロッシング部手前(対向方向)のレールの間に設置しており、開通側には黒地に緑色縦線2本の表示が現れて、非開通側には白地に赤色の×印が現れるようになっている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Railroad switch 」があります。



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