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素粒子の大統一理論で、特にニュートリノ質量とニュートリノ振動において、シーソー機構とは、ニュートリノの質量の相対的な大きさを理解するための一般的な理論モデルとして用いられる。観察されるニュートリノの質量は電子ボルト オーダーで、クオークや荷電レプトンはその何百万倍も重い。 モデルにはいくつかのタイプがあり、それぞれ標準模型を拡張したものである。最も単純なタイプ1のバージョンは、弱電相互作用を起こさないような2つ以上の右巻きのニュートリノ場を仮定し、非常に大きな質量スケールがあるとの仮定のもとに標準模型を拡張したものである。この理論では、大統一理論によるスケールで確認できる程度にまで質量スケールを拡張できる。 == Type 1 のシーソー機構 == この理論モデルでは、既知の3種類のフレーバーに対応する軽いニュートリノ1つと、それぞれのフレーバーに対応するまだ観測されていない非常に重いニュートリノを生成する。 シーソー機構の背景となる簡単な数学的原理は、以下の特徴を持った任意の2x2 行列で表される。 : ここで は より十分大きくとられ、2つの非常に不均衡な固有値を持つ。 : であるため、大きいほうの固有値 は、ほぼ に等しい。このときより小さいほうの固有値 は、 : となる。すると、行列式は となり、大きさ は と の幾何平均となる。片方の固有値の値が上がるともう片方の値が下がり、この逆も同様となる。これが機構を”シーソー”と呼ぶゆえんである。 この機構は、なぜニュートリノ質量がこれほど小さいかをうまく説明する〔M. Gell-Mann, P. Ramond and R. Slansky, in ''Supergravity'', ed. by D. Freedman and P. Van Nieuwenhuizen, North Holland, Amsterdam (1979), pp. 315-321. ISBN 044485438x〕。行列 ''A'' はニュートリノの質量行列そのものである。マヨラナ粒子の質量成分 ''M'' は大統一理論スケールに匹敵し、レプトン数は破れるが、これは、ディラック質量の成分 ''m'' は電弱スケールよりも非常に小さい(以下 ''VEV'' とする)からである。小さい方の固有値 は 程度に非常に小さいニュートリノ質量となる。このことは実験と定性的に一致しており、時折これは大統一理論の枠組みを支持する裏付けとされる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「シーソー機構」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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