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巻雲(けんうん)は雲の一種。刷毛で白いペンキを伸ばしたように、または櫛で髪の毛をすいたように、あるいは繊維状の、細い雲が集まった形の雲である。細い雲片一つ一つがぼやけず輪郭がはっきりしていて、絹のような光沢をもち、陰影がないのが特徴。絹雲(けんうん、きぬぐも)と書かれることもある。俗称ですじ雲、はね雲、しらす雲とも呼ばれる。 == 概要 == 国際的な雲形の分類である十種雲形の1つで、ラテン語学術名はCirrus(シーラス)、略号はその頭2文字をとったCiである。Cirrusはラテン語で巻き毛を意味する。Cirrusの日本語への訳語としては「巻雲」が当初から用いられていた。しかし、巻の「ケン」という読みが常用漢字の表外音訓となっているという指摘などから、1980年代に「絹雲」という字を当てることが決定されてしばらく使用されていた。その後1988年に再び「巻雲」に戻ったが、その名残が残っている。 単純にまっすぐに伸びたものだけでなく、頭の部分が鉤型に反り返っていたり、綿状のかたまりになっているものなどバリエーションがあり、それによって毛状雲・鉤状雲・濃密雲・塔状雲・房状雲に細分類される。 対流圏の上部に発生し、ほぼすべて氷晶からできている。氷晶の大きさが小さいため、雲はあまり濃くない。また、氷晶が落下しながら蒸発すると尾を引いたように見えるが、氷でできており周囲の温度も低いためなかなか蒸発しにくく、尾が長く伸びる。 上空の湿度が高いときは飛行機雲の氷晶が周りの水蒸気を集めて成長し、巻雲になることがある。 このとき、飛行機のエンジンの排気に含まれる塵が凝結核や氷晶核となることで、さらなる成長を引き起こすことも多い。 雲ができる高度は、高緯度地域では3~8km、日本を含む中緯度地域で5~15km、低緯度地域では6~18km付近であるが、上層雲の中では最も高い高度に出現することが多い雲である。 中緯度地方では春や秋に多く見られるが、これはその時期に中緯度地方上空に位置するジェット気流に巻雲が伴うことが多いためである。ジェット気流に伴うこの巻雲をジェット巻雲という。 ジェット巻雲の代表的な例としてシーラスストリークとトランスバースラインがある。シーラスストリークはジェット気流の強風域の低緯度側に気流と平行な方向に並ぶ細長い筋状の巻雲である。トランスバースラインはジェット気流の強風域にそれと垂直な方向に並んで発生する波状の巻雲列である。トランスバースラインの発生する部分には乱気流が発生していることがしばしばある。シーラスストリークは直線的、トランスバースラインは縁が波打ったようになっていることから、雲画像だけでも判別可能である。 積乱雲が発達して対流圏界面に達すると雲頂から風下側に雲が吹き流されて、巻雲が発生することがある。巻雲が付いた積乱雲は多毛雲と呼ぶ。 温暖前線や熱帯低気圧が接近してくるとき最初にあらわれるのが巻雲である。そのため巻雲が空一面に広がると雨が近いといった言い伝え(気象伝承)が知られている。 温暖前線の場合、寒気と暖気の衝突する前線面が南(北半球の場合。厳密には低緯度側)や東(中緯度の場合。西の場合もある)にいくほど上空の高い地点になってくる。雲は前線面付近にできるため、最も高い高度にできる巻雲が最初に現れるのである。熱帯低気圧の場合、大気の上空で低気圧から周囲に湿暖気流が吹き出しているが、気流の末端部分に巻雲ができるためである。 ただ、巻雲が見られるような段階では、その後少なくとも数時間は晴天が続くと考えられ、天候が急変する心配は少ない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「巻雲」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Cirrus cloud 」があります。 スポンサード リンク
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