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ジェリー・アラン・フォーダー(、1935年 -)は、アメリカ合衆国の哲学者であり認識科学者であり、現在、ニュージャージー州のラトガーズ大学で教鞭をとっている。心の哲学と認知科学の分野で多くの著作があり、心のモジュール性や思考の言語仮説など、これら分野の基礎を築いた研究者である。 フォーダーは、心的状態(例えば信念と欲求)は個体と心的表象との関係である、と主張する。彼によれば、これら心的表象こそが、心の中で思考の言語(Language of Thought : LOT)によって正しく説明できる唯一のものである。さらに、この思考言語はそれ自身、有用な説明のツールであるだけでなく、脳の中で実際に体系化されて存在しているものである。フォーダーは、思考と他の心的なプロセスが、表象の文法に基づき行われる計算からうまれると主張して(この計算が思考の言語を作り上げるのであるが)、一種の機能主義者である一線を守ろうとする。 フォーダーにとって、心(例えば知覚的プロセスや言語プロセス)の主要な部分は、モジュールまたは「器官」として構築される。そして、モジュール/「器官」は、それらが果たす機能的な役割によって定義される。これらのモジュールは心の「主要な処理」の一部であり、互いに比較的独立している。そして、モジュールは、より広域的であったり、より限定的であったりする「領域特定性」という特徴をもつ。フォーダーが提示するのは次のことである:これらのモジュールがもつ性質のおかげで、外的対象とも因果関係が成立することが可能になり、このことが、心的状態が世界の事象に関係した内容を持つことを可能にする。一方で、中央の処理部分は、様々な内容の入力と出力の間の論理的な関係を担当する。 フォーダーは当初、心的状態が外部の事象によって因果的に決定されるという考えを否定していたが、近年は、心的内容に関する意味と指示の問題のために、言語哲学について多くの論文を書き研究を行っている。この領域で彼は、非対称的な指示の因果説について論じ、またクワインらが主張する意味の全体論を否定する多くの議論を行った。フォーダーは、心の還元主義的な説明に強く反対する。彼は、心的状態が多重実現可能であり、説明のレベルにおいて階層構造(ヒエラルキー)が存在すると主張する。たとえば心理学や言語学などの高次の理論の一般化および法則は、ニューロンやシナプスの振る舞いといった低次の説明によっては捕らえることができないものである、と。 ==経歴== ジェリー・フォーダーは1935年ニューヨーク市に生まれた。彼は今もその町で妻と愛猫とともに暮らし続けている。彼は二人の子を育てた。1956年コロンビア大学から首席で学位を得た。ヒラリー・パトナムの指導の下、1960年にはプリンストン大学から哲学の博士号を授けた。1959年から1986年までの間、フォーダーはマサチューセッツ工科大学で教員だった。1986年から1988年まで、ニューヨーク市立大学の正教授をつとめた。1988年からはラトガース大学の哲学と認知科学のニュージャージー教授職にある。 哲学以外では、フォーダーはオペラの熱烈な愛好家であり、ロンドン・レビュー・オブ・ブックスでオペラについての連載コラムを持つほどである。 ラトガースで最も有名なフォーダーの元同僚のひとりに、新神秘主義の哲学者コリン・マッギンがいる。マッギンはフォダーについて次のように書いている。 "(フォーダーは)無骨で大柄の体の中にやさしさを持った男だ。議論の仕方さえ無骨になりがちだが。彼の中には内気と多弁が同居している・・・傷つきやすい魂を抱えながらも周囲を恐れさせる論客だ・・・ジェリーと哲学の問題で意見が異なると、特にそれがジェリーにとって大切な事柄だと、苦しみはあるが彼を鍛える経験となるだろう・・・朝一杯のコーヒーを飲む前から、彼の精神のすばやさ、創造性、鋭いウィットのせいで紛糾することはない。ジェリー・フォーダーをラトガースの教授にすることは、すぐさま彼を有名にした。フォーダーは今日、心の哲学の世界的なリーダーであることに異議を唱えるものはあるまい。私は1970年代にイギリスで彼と出会い・・・その知的な会話から彼が本物だとわかった(もっとも我々はいつも意見が一致するという訳ではないが)"。 フォーダーは名誉あるソサエティ「ファイベータカッパ」のメンバーであり、またアメリカ芸術科学アカデミーのメンバーである。彼は数多くの賞や表彰を受けている:ニューヨーク州レージェント・フェロー、ウッドロウ・ウィルソン・フェロー(プリンストン大学)、チャンセラー・グリーン・フェロー(プリンストン大学)、フルブライト・フェロー(オックスフォード大学)、行動科学高等研究センターのフェロー、グッケンハイム・フェロー。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ジェリー・フォーダー」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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