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ジョン・ウォリス : ウィキペディア日本語版
ジョン・ウォリス

ジョン・ウォリス(John Wallis、1616年11月23日 - 1703年10月28日)は、イングランド数学者で、微分積分学への貢献で知られている。1643年から1689年までイングランド議会(後には王宮)に暗号研究者として雇われた。また、無限を表す記号として を採用したことでも知られている。小惑星 31982 Johnwallis は彼の名を冠している。
== 生涯 ==
ケントアシュフォードで、5人兄弟の3番目として生まれた。アシュフォードの学校に通っていたが、ペストが流行したことから1625年にテンターデンの学校に転校した。1631年、フェルステッドの学校で数学と出会った。ウォリスは数学が気に入ったが、当時の数学は学問としては不十分であり、機械的な計算に重きを置いていた〔Scriba, C J, 1970, "The autobiography of John Wallis, F.R.S.," ''Notes and Records Roy. Soc. London'' 25: 17-46.〕。
医者になることを周囲に望まれ、1632年にケンブリッジ大学エマニュエル・カレッジに入学。そこで当時議論の的でもあった血の循環の学説を学んだ。しかし、彼の興味の中心は数学にあった。1637年に学士号、1640年に修士号を取得し、その後聖職に就いた。1643年から1649年、ウェストミンスター会議で議決権のない筆記者を務めた。1644年、ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジのフェローに選ばれたが、1645年3月14日に結婚した後、辞任しなければならなくなった。
このころ、フェルステッドの学校との関わりから議会派と親交があった。ウォリスは議会派が王党派の暗号文書を解読するにあたって、多大な技術的支援をしている。当時の暗号の出来は玉石混交だった。フランソワ・ビエトのように暗号研究で成功を収めた数学者はいたが、暗号設計や暗号解読法の理論的基盤はまだ確立していなかった。現代のようにを基盤とした体系的なものとは異なり、多くの暗号は場当たり的に作られ、秘密のアルゴリズムを採用していた。ウォリスは鍵を使った暗号がより安全だと気づき、それらを「解読不能」と評したが、そのようなアルゴリズムを奨励するほどの自信はなかった。また、海外勢力の暗号の使用に懸念を持ち、例えば1697年にゴットフリート・ライプニッツハノーファーからの留学生に暗号理論を教えるよう要請され、それを断っている。
1643年 St Gabriel Fenchurchチャプレンとなっていたが、ロンドンに戻ると後に王立協会設立の母体となる科学者のグループに参加した。1647年、数週間かけてウィリアム・オートレッドの ''Clavis Mathematicae'' をマスターし、ついに数学への関心を満足させた。すぐに独自の論文を書き始めた。それは様々な主題を扱い、生涯書き続けることになった。1663年、王立協会フェローに選出された。
ウォリスはチャールズ1世の処刑に反対する穏健な長老派に与し、独立派に長く恨まれることになった。独立派の反対にも関わらず、ウォリスは1649年にオックスフォード大学Savilian Chair of Geometry(数学の教授職)に選任され、1703年10月28日に亡くなるまでその職にあった。数学以外にも、神学論理学、英文法、哲学についての著作もあり、聾唖者への教育方法の確立にも関与した。なお聾唖者の教育については、ウィリアム・ホルダーが聾唖者に明朗な話し方を教えるという功績を上げており〔W. Holder, ‘Of an experiment, concerning deafness’,Philosophical Transactions of the Royal Society3 (1668), 665–8〕、ホルダーはウォリスが他人の功績を横取りしたとして非難している〔Holder,PTRS Supplement, 10〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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