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スタウロスポリン(staurosporine、抗生物質AM-2282、STS)は、1977年に大村智らによってストレプトマイセス属の放線菌''Streptomyces staurosporeus''から単離された天然物である。以後、ビスインドール骨格を有する同種の化合物が50種類以上単離されている。平面構造および相対立体配置はX線回折によって1978年、1981年に、絶対立体配置も同様にX線回折によって1994年に決定された。 スタウロスポリンは強力なプロテインキナーゼ阻害剤である。 == 生理活性 == スタウロスポリンは、抗菌活性から降圧作用まで幅広い生理活性を示す。また、抗がん活性を示すことも明らかにされている。 スタウロスポリンはプロテインキナーゼの酵素活性を阻害することで、生理活性を示す。これは、スタウロスポリンが、酵素のアデノシン三リン酸 (ATP) 結合部位に強力に結合するためである。スタウロスポリンはプロテインキナーゼC (PKC) 阻害剤としての活性が注目されていたが、多くのキナーゼに結合して活性を阻害し選択性をほとんど示さない。この特異性の欠如は臨床応用を不可能にしているが、研究のツールとしては有用である。研究では、スタウロスポリンはアポトーシスの誘導に用いられる。アポトーシス誘導の機構ははっきりと解明されていないが、カスパーゼ3の活性化によるアポトーシス誘導機構の経路が明らかにされている 。 スタウロスポリンは様々なキナーゼ阻害剤のリード化合物・前駆体である(例: ミドスタウリン (PKC412))。さらに、スタウロスポリンはスタウロスポリンアグリコン (K252C) の大量合成の出発原料として用いられる。K252Cは、スタウロスポリン生合成の前駆体である。 スタウロスポリン類縁体の構造を基にして開発されたPKCβアイソザイム選択的阻害剤エンザスタウリン は悪性リンパ腫に対する分子標的薬として、ルボキシスタウリンは糖尿病性網膜症治療薬として、臨床試験が行なわれるなどしている。 ファイル:Ruboxistaurin.svg|ルボキシスタウリン ファイル:(+)-K252a.svg|K252a ファイル:Rebeccamycin.svg|レベッカマイシン 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スタウロスポリン」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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