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アトラクター(英: attractor)は、ある力学系がそこに向かって時間発展をする集合のことである。 その力学系において、アトラクターに十分近い点から運動するとき、そのアトラクターに十分近いままであり続ける。アトラクターの形状は点や曲線、多様体、さらにフラクタル構造を持った複雑な集合であるストレンジアトラクターなどをとりうる。 カオスな力学系に対してアトラクターを描写することは、現在においてもカオス理論における一つの研究課題である。 アトラクターに含まれる軌道は、そのアトラクターの内部にとどまり続けること以外に制限はなく、周期的であったり、カオス的であったりする。 == 研究の動機 == 力学系は一般的にひとつあるいは複数の微分方程式あるいは差分方程式により表される。これらの方程式は短い時間区間における力学系の挙動を記述するので、より長い時間区間における力学系の挙動を決定するためには、その方程式を積分する必要がある。このためにしばしばコンピュータが効果的に用いられる。 実世界における力学系は散逸的であることが多いであろう。すなわち、もし力学系に運動の駆動力が無ければ、運動は停止するものと考えられる(そのような散逸は、様々な原因による内部摩擦や熱力学的損失、物質の損失などにより生じうる)。散逸と駆動力が組み合わさることにより、初期の摂動を鎮め、その力学系の振る舞いを典型的なものへと落ち着かせる傾向にある。そのような典型的な振る舞いに対応している力学系からなる位相空間の一部分はattracting section または attractee と呼ばれる。 アトラクターに似たような概念として、不変集合や極限集合が挙げられる。不変集合とは、ある力学系に対して、その集合自身に時間発展するような集合のことである。アトラクターは不変集合を含むことがある。極限集合とは、力学系の軌道の各点から、時間が無限大に向かうときに近づく点の集合である。アトラクターは極限集合であるが、アトラクターではない極限集合も存在する。ある種の力学系において、いくつかの点においては極限集合から外れる摂動を与えられた時にも収束するが、他のいくつかの点では「はねとばされて」二度とその極限集合の近くに戻らないことがありうる。 減衰振子を例に考える。減衰振子は2つの不変集合(不動点)を持つ。最も低い位置にある と最も高い位置にある である。 軌道はに収束するので、は極限集合であるが、 は極限集合ではない。エネルギー散逸があるため、 はアトラクターでもある。振り子の振動が減衰せず、エネルギーの散逸がなければ、 はアトラクターにはならない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アトラクター」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Attractor 」があります。 スポンサード リンク
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