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ムーミンの登場人物[むーみんのとうじょうじんぶつ]
ムーミンの登場人物(ムーミンのとうじょうじんぶつ)では、小説『ムーミン』およびその派生作品に登場するキャラクターを解説する。
作者であるトーベ・ヤンソンは小説、絵本、新聞連載漫画、戯曲など様々なメディアで「ムーミン」シリーズの作品を発表したが、共通する登場人物であってもその性格付けや人間関係などが作品ごとに異なることがよく見られ、一度あるメディアで発表した作品を別のメディア向けに書き直す場合、ストーリーラインさえ大幅に変更していた。さらにアニメーションなどの二次著作においては、第三者の意図によりさらなる改変が加えられている。したがって登場人物について解説を加える際、どの作品に準拠しているのかを明確にしないとしばしば咬み合わない。本項目は現在、小説版、コミックス版、アニメ版、その他の設定が必ずしも準拠する作品を明示することなく入り混じった表記になっているため注意が必要である。
ムーミン・シリーズには、ムーミンのほか、スノーク、ミムラ、ヘムル、フィリフヨンカ、はい虫(むし)などの架空の生物が登場する。これらの名称はその生物の種族名であるが、一部の名称については個人名や家族名のように使用されている。
なお、ムーミン・シリーズには、他にも名前や姿の無いキャラクターが多く登場する。人のような外見のキャラクターも登場するが、人ではない別の生き物である。
以下の説明中の声優名は、日本のアニメーション作品における担当声優であり、「1969年、1972年版ムーミン」 / 「楽しいムーミン一家 、楽しいムーミン一家 冒険日記、楽しいムーミン一家 ムーミン谷の彗星」 / 「2009年劇場版」(これは1979年版のポーランドパペットアニメーションを編集したものである。)の3系統が列記されている。声優名の記載がない場合は同キャラクターについて声優がいない、あるいはその作品には未登場であることを意味する。1979年版のパペットアニメーションは、始めは全てのキャラクターを、岸田今日子が1人で吹き替えを演じてCSで放送されていた。この後2009年版を再編集をし、女優の松たか子と俳優の段田安則の2人で全ての役を演じた2012年版テレビバージョンがありNHKBSプレミアで放送されたものがある。
そのほか、絵本が原作の物がDVDソフトとして制作され、「それからどうなるの」、「さびしがりやのクニット」が2言語で作られ一方の原語のナレーションの出演は、トーベ自身が担当し、日本語の吹き替えは、小泉今日子が1人で全てのキャラクターを演じていた。アニメーションの絵もトーベ自身の絵本の絵が用いられていた。2012年にも3話になり、再発売された。
※ミイとスナフキンには「異父姉弟説」「異父兄妹説」と「伯母甥説」がある。(後述)ミイ・スナフキン・ヨクサル・むすめミムラ・ミムラ夫人の関係はその説如何で変わってくる。
== 主要人物 ==
; ムーミントロール(、)
: 声 - 岸田今日子/高山みなみ/野島健児
: ムーミン一家の男の子。日本では妖精だといわれているが、厳密に言えば妖精ではない(作者は「バーレルセル(存在するもの)」と説明している。バーレルセルとは、「いることはいるけれど何と言い表してよいかわからないもの」というような意味合いで、童話などによく用いられる言葉である)。見た目は直立したコビトカバのような風貌をしている(コミックスと『楽しいムーミン一家』では、ミイが拾った熱帯の種を家の周りに撒きムーミン屋敷がジャングルのようになった時に、スティンキーが動物園から猛獣を盗み出したのを捕えにきた動物園の係官に、ムーミン一家とスノークの女の子(またはフローレン)がカバに間違えられて怒るエピソードがあった。さらにヘムレンによって生物学的にもカバとは異なる種族であることが証明されている)。父親はムーミンパパ、母親はムーミンママ。一人称は「僕」
: フィンランドのどこかにある「Muumin Dalen」(ムーミン谷)と呼ばれる場所で、ひっそりと暮らしている。冬になると家にこもって冬眠する。先祖は大きなストーブの裏側に住んでいた。小説でのムーミン達は、体の大きさは「電話帳くらいのサイズ」とトーベ・ヤンソンは言うが、植物などの大きさと比較すると、コミックスと同じように人位のような大きさと考えられる。パパの拘りのタバコの葉っぱを収穫するためのタバコ畑や、ママの得意なジャムの原料となる木苺などの木の実、茸の料理等を考えると、電話帳位の大きさではこれらは調理できず、矛盾を生じる。コミック版のムーミンでは人と同じとされている。
: 元々は、スウェーデン語により書かれた小説だが、1954年以降、英国の新聞イブニング・ニュースにこれとは独立した漫画をトーベと末弟のラルス・ヤンソンが描き連載された。トーベのスウェーデン語の原作を、ラルスが英語に翻訳をしてイギリスで連載が開始された。また、『楽しいムーミン一家』『ムーミン谷の仲間たち』ほか、多くの作品に登場する。「ムーミントロール」という名前は、北欧の伝説に現れる妖精トロールからとられている。実際には「ムーミン」という名前は妖精の種族を表すようだが、童話での「ムーミントロール」は主人公の名前として使われている。
: トーベ・ヤンソンが初めてムーミンらしきものを描いたのは、10代の頃次弟のペル・ウーロフ・ヤンソンと口喧嘩をして負けた時に悔し紛れにトイレの壁に描いたもので、そのムーミンらしき姿に(SNORK:スノーク;とても醜い生物)と書いたものであった。
: トーベ・ヤンソンがムーミントロールの原型らしきものを公に最初に描いたのは政治風刺誌『ガルム』誌上であり、当時は画中の隅のほうにいる小さな目立たないキャラクターにすぎなかった。それ以外にも、トーベ・ヤンソンはムーミンかどうかはわからないものの、トロールのシルエットを描いた作品を残している(「黒いムーミントロール」)。元々北欧では、トロールは人間にとって気味のわるい生き物であるとされており、トーベは勉強のために叔父の家に下宿したが、夜中に勉強中に冷蔵庫から盗み食いをしょっちゅうしていたところ、叔父から「夜中に背後から息をふきかけてくるトロール」(これがムウーミントロールと言った)の話を聞かされたという記述がある。ムーミントロールのイメージは、初期のこのようなおどろおどろしいものから、徐々に現在のような形に変化していったと考えられる。因みにムーミンの瞳は青であるが、初期のアニメーションでは黒目であった。
; ムーミンパパ(、)
: 声 - 高木均/大塚明夫、高山みなみ(若い頃)/稲葉実
: ムーミントロールの父親。妻はムーミンママ。
: 出自は捨て子で、へムル(実際はフィリフヨンカの孤児院だが、パパの思い出でまだ存命中の者の迷惑にならないように、ヘムルとした)の孤児院に保護された(別作品では伯母がいることになっており矛盾が生じている)。夢見がちでロマンチスト。院長とウマが合わず孤児院を脱走して、発明家フレドリクソンらと共に蒸気船「海のオーケストラ号」で冒険の旅に出た。航海の後、嵐の海岸で助けた女のムーミン(のちのムーミンママ)との間に生まれたのがムーミントロールである。『ムーミンパパの思い出』が現在に至るまでの半生記となっている。
: 子供の頃は「ムーミン」と呼ばれていた(『楽しいムーミン一家』のみの設定)。一人称は「わたし」、だが少年期は「ぼく」。
: シルクハットがトレードマークで、パイプタバコを好む。自分でタバコ畑を持ち、こだわりのタバコを栽培している。原作、コミックスを含めアニメーション『ムーミン』はもとより、『楽しいムーミン一家』でもパパはパイプを持っている。しかし、スナフキンは原作(コミックスを含む)とアニメーション『ムーミン』ではパイプでタバコを吸っているが、『楽しいムーミン一家』ではキャラクターデザインまではパイプをくわえているものの、アニメーション本編ではタバコを吸っていない。しかし、今回フィンランドで製作された長編アニメーションでは、たばこのパイプをくわえている。
: 若い頃は冒険家であり、現在は第一線を退いているもののその精神は忘れていない。家族を守ることに強い使命を感じている。しかしモランから家族を守ろうとして逆に不寝番を断られたりと行動が空回りすることもしばしば。原作では、ふとした時に冒険心に駆られムーミン屋敷を飛び出すなど放浪癖がある。
; ムーミンママ(、)
: 声 - 高村章子/谷育子、かないみか(若い頃)/高島雅羅
: ムーミントロールの母親。夫はムーミンパパ。
: いつも賑やかなムーミン一家を支える。常に赤と白の縦じまの腰巻エプロンを着用して、手には持ち手の付いた黒いハンドバッグを携帯している。夫や子供達に分け隔てなく愛情を注ぎ、スノークのお嬢さんやミイに時折料理を教えている。一人称は「私」。
: 寛容で穏やかな性格だが、時折お転婆で無鉄砲な性格が垣間見える。『楽しいムーミン一家』では、モランがトフスランとビフスランに盗まれたルビーの王様を取り返しにムーミン屋敷に来訪した際にフライパンを片手に立ち向かったり、飛行おにの帽子でムーミン屋敷が植物に乗っ取られた時は生えた果物を物怖じないで食べてムーミンパパに薦めたり、この帽子でムーミンが化け物になり、自分が化け物になっていることを知らないムーミンが「自分はカリフォルニアの王様だ」と名乗り、その結果スニフ、スナフキン、スノークらにぼこぼこにぶん殴られ泣いているのをムーミンと見抜いたりと、ムーミン一家の中では精神的に強い方。
: 自宅では主に台所に立ち料理を作っている。趣味は家事の合間にリビングでイスに座りながらする編み物、一家で海に出かけた時にも暇を潰すのにも編み物をしていることが多い。
: バラを育てるなどガーデニングに勤しみ、ムーミン達が山で摘んできた木いちごを使ってジャムやジュースを拵えている。また料理の知識の他に食用キノコと毒キノコを見分けるなど、山菜に対する知識にも長けている。自宅の地下には彼女専用の薬剤室があり、自身の祖母が手帳に書き残した秘伝の薬の調合書を持っている。家族の誰かが病気になった際は、調合書で使用する薬の調合方を調べ、薬剤室に篭り薬の調合をしている。
: 若い頃の嵐の夜、海で溺れて助けを求めた。それを救ったのが「海のオーケストラ」号での冒険を終えたムーミンパパであった。『楽しいムーミン一家』ではその頃のママの容姿は現在のスノークのお嬢さんそっくり(相違は前髪とハンドバッグの有無のみ)と表現されている。
: ハンドバッグは出かける時はもちろん、家事をする際にも常に所持している。このハンドバッグは命の次に大事な物で、一度失くした時(この時はトフスランとビフスランが昼寝に使用するのに秘密の場所に隠した)はミムラやヘムレンさんなども参加し村中総出で捜索するほど、彼女にとっては大事な物。ムーミン・コミックスでは犬にバッグを盗まれたが、ムーミンパパが持ってきた他のどんなデザインの代替品も拒否し、「あのバッグじゃなきゃダメ」と泣きじゃくるこだわりよう。バッグの中身は怪我した時に使うばんそう膏などの救急道具、靴下や手袋などの衣類の他、化粧用のコンパクトや、ムーミンパパに婚約の際に贈られたルビー指輪真珠ネックレスなど収められている。
:体重は重いらしく、テレビアニメーション『楽しいムーミン一家』の第二期OPを見るとムーミンパパよりも重い(ムーミンパパを含むムーミン達が長椅子に座っており、端にムーミンママが座ると長椅子が片寄る)。ムーミンパパがムーミンママに誕生日プレゼントとして送ろうとしていた自転車も、かなりの重さに耐えられるように設計図が作られていた。
; スノーク(、)
: 声 - 広川太一郎/平田康之/-
: スノーク族という、ムーミン族とは似ているものの異なる生き物の兄妹の兄。妹がスノークのお嬢さんである。スノーク族の外観はムーミン族に似ており、体の大きさもほぼ同じだが、体色が個体ごとに異なり、感情によって変化する。アニメーション版『ムーミン』では若草色の様な薄緑色をしており、『楽しいムーミン一家』では薄水色をしている。ムーミンシリーズの他の登場人物と同様に種族名を名乗る。原作においては頭髪はなく、小説版の裁判のシーンでは、中世ヨーロッパの裁判官や音楽家が被っていた〔17世紀から2000年代まで使用されていた。2008年廃止〕ような、バッハやヘンデルを思わせる長髪のかつらを着用している。一人称は「僕」。
: アニメーション版『ムーミン』における兄の「スノーク」のキャラクターデザインは、前述のかつら(よそ行きも持っていたり、おしゃまさんに取られそうになったりする)を被り、『楽しいムーミン一家』ではメガネに短髪となっている。『楽しいムーミン一家冒険日記』では、OPのみで物語には登場しない。
: スウェーデン語でsnorkは「指図や命令をし、いばったり、うぬぼれたりする人」という意味である。トーベが一番初めに描いたムーミンの登場人物は、先述の通り実はスノークであり、次弟のペル・ウーロフ・ヤンソンと口喧嘩をし負けた時に、ペル・ウーロフのことをトイレの壁に描き、ムーミンらしき姿の生物の下に「SNORKEN」と書かれたものがムーミンのルーツである。
; スノークのお嬢さん(ノンノンフローレン 、)
: 声 - 武藤礼子/かないみか/永田亮子
: スノーク族の娘で、スノークの妹。体色は嬉しい時は黄色、不安な時は緑、怖い時は紫に変わり、目が黒くなる。『楽しいムーミン一家』では薄い黄色(クリーム色)、前髪は黄色である〔アニメーション『ムーミン』では黄緑色をしており、前髪は桃色。最初期の東京ムービーの分にはリボンも付けていた。〕。この前髪があるところがムーミン族と異なる。金のアンクレット(足環)を着けている。ムーミントロールのガールフレンド。一人称は「私」だが、「あたし」と言うこともある。
: 原作の『ムーミン』小説シリーズでは、スノークのお嬢さん(スノークのおじょうさん)と呼ばれているだけで名前は設定されていない〔講談社版‘ムーミンまんがシリーズ’では当時のアニメーション『ムーミン』と同じくノンノン、福武書店(ベネッセ)版‘ムーミンの冒険日記’では『楽しいムーミン一家』でプロデューサーとして参加している野中しぎが翻訳をしているためもあり、『楽しいムーミン一家』と同じくフローレン、筑摩書房版コミックス版‘ムーミンコミックス’ではスノークの女の子とそれぞれ訳された。〕。アニメーション版『ムーミン』では1969年版の制作用のパイロット版でのアフレコ中に、田代敦巳音響監督がこのままでは味気ないとして、妻の愛称から急遽ノンノンと名前がつけられた。しかし原作者トーベから「"no"や"non"などの否定的な意味に取れる」と苦情があったため、『楽しいムーミン一家』ではドイツ語でお嬢さんを意味するフローレンという名前となった。一度、記憶喪失になり自分が「おさびし山の王女」だと思い込んだことがある。
: 小説版では自分の前髪などに対するいささかナルシスト的な面も見せるが、ムーミンに気遣いを見せる優しい女の子として描かれる。コミックス版では夢見がちでのぼせやすく浮気性な面が強調され、一面的な「わがままな女の子像」に拘泥する。
: 『ムーミン谷の彗星』にて初登場。巨大食虫植物アンゴスツーラに襲われているところをムーミントロールたちに救われる。ムーミントロールは彼女が以前落とした金のアンクレット(足環)を拾っており、それを渡すことができて喜んだ。これが切っ掛けで彼女はムーミントロールのガールフレンドとなり、彗星を避けるために兄妹はムーミン谷へ同行し、そこに移り住むことになる。
; ミイ(、 原文和訳で「ちびのミイ」とも)
: 声 - 堀絢子/佐久間レイ/水田わさび
: ミムラという一族の一人で、ミムラ夫人の20番目の子。タマネギのように結った髪型が特徴(ミムラ族は女はみなこの髪型。ちなみに男は逆立てたような短髪である)。赤いスカートを着ているが、黒い手袋をしているため、手が黒く見える。他に34人の兄弟姉妹がいる。原作ではヨクサルとむすめミムラが出会った後にミムラ夫人より生まれている。弟妹が生まれたが、ミイだけはちっとも大きくならなかったので「ミイ(一番小さい)」の称号のを引き継いでいる。ミイ自身の固有名詞ではない。一人称は『楽しいムーミン一家』では「あたし」、原作では「あたい」。
: 一言で強烈な印象を与える毒舌家。作品に現実的な視点をそえる特徴的なキャラクター。物怖じしない性格で、歯に着せぬ物言いや感の鋭さから、誰もがたじろいでしまうこともある。ただし、根っからの悪い子ではなく、意地悪で言っている訳ではない。
: 怒った時は噛みつき、馬鹿にするときは鼻から息を吸って歯の間から吐き出す。
: 大変な悪戯好き。この悪戯に、ムーミンたちが手を焼いて振り回される話が多く『楽しいムーミン一家』でそれが強調されている。生まれた途端に飛行船の配管にオートミールを詰め込むといういたずらをするなど「独創的(ミムラ夫人談)」である。あまりの度が過ぎたいたずらに、ミムラ姉さんからきついお仕置を受けることも少なくない。
: 「喜ぶ」「怒る」という感情を大切にしており、「かなしむ」ということは何の役にも立たないと考えている。
: ミムラ姉さん共々スナフキンの姉(異父姉)であるという解釈もある。スナフキンの伯母とする説もある〔「ようこそムーミン谷へ」ミルヤ・キヴィ著ではミイの方が妹で、スナフキンは兄であると書かれているが、出典は不明である。〕。
; スニフ(、)
: 声 - 富田耕生/中尾隆聖/-
: ツチブタカンガルーのような外見の生き物。「sniff」には英語で「嗅ぐ」の意味があることから、優れた嗅覚と聴覚で蟻塚を探すツチブタがモデルだという解釈がある。種族名は不明で「小さな生き物」と表記されることが多い。臆病でわがまま。金貨(おカネ)、宝石や貴金属など、キラキラ光る金目の物が大好き。怪しい薬を拵えて売ったり、ムーミンに占い師になってもらいカネ儲けを企んだりした。しかし、自分より弱いものには優しく接する。ムーミン一家と同居している時と、自分の家にいる時がある。ムーミンパパの若い頃の冒険仲間であるロッドユールとソースユールの間に生まれた子。
: 一人称は「僕」。
; スナフキン(、、)
: 声 - 西本裕行/子安武人/白熊寛嗣
: ムーミントロールの親友。服を着て靴を履いており、ヒトに似た姿だが、手が4本指(親指の他は3本)、しっぽが描かれた挿絵も存在するなど明白にヒトとは異なる。表記と後記の通りスナフキンは英語であり、スウェーデン語では、「スヌスムムリク」である。
: 自由と孤独、音楽を愛する旅人。クールで物事を所有することを嫌う。冬の来る前に南へ旅立ち、春の訪れとともにムーミン谷に戻ってくる。ただし、原作小説の『たのしいムーミン一家』ではムーミンと共に冬眠する描写がある。初期のアニメーション『ムーミン』では理知的で静かな大人という雰囲気のキャラクターである。これは子供らしさを残す主人公のムーミンに対して、その人生観世界観によって影響を与えていく、いわば「導き手」として焦点化されたストーリー上の役割によると考える人もいる。
: 父親はムーミンパパの友人ヨクサル。母親については、「ムーミンパパの思い出」にヨクサルは「あのミムラ」が好きだと書かれており、ミムラ夫人をさすものと解している人もいれば、むすめミムラとする人もいる。しかし、作中ミムラ夫人とヨクサルに接点があるシーンはほぼない。ムーミンパパはむすめミムラとずっと一緒にいたと証言している。ムーミンキャラクターズ社による公式HPのキャラクター紹介でもその解釈をとっているが、その解釈を採用したソースは不明。むすめミムラ(ミムラ夫人の長子、いわゆるミムラ姉さんとは別人、アニメ「楽しいムーミン一家」でも別人として描かれた)前者の解釈を取ればミイの異父弟、後者であればミイの甥にあたる〔ミイの項に記したが、スナフキンの方が兄でミイは妹であると『ようこそムーミン谷へ』にミルヤ・キヴィは書いているが、小説版などにその記述はない。〕。
: 原作のスナフキンは理知的ではあるが孤独を好み、どちらかといえば人づきあいが苦手な人物として描かれている。人に指図されるのを嫌い、公園の「芝生に入るべからず」のような立て札を見て怒り、抜き捨てたこともある。心を許しているのはムーミンなどごく一部の人々にすぎず、『ムーミン谷の十一月』ではヘムレンさんなどの他人に対してひどく無愛想である。しかし『ムーミン谷の夏まつり』では、やむを得ず引きとることになった24人もの孤児(森の子供たち)の世話をした。
: 『ムーミン・コミックス』シリーズに出てくるスナフキンは原作よりもやや外向的である。しかし自分の嫌いな人々がムーミンの家にやってくるとスナフキンはこそこそ逃げ出してしまう。
: アニメーション『楽しいムーミン一家』では、ムーミン一家以外の人たちに対しても無愛想にならず、友好的に接している。何かと事件解決の突破口を作ることも多い知恵者的立場で活躍するためか、親友であるムーミンを始め周囲からは信頼され頼りになるキャラクターという設定である。番組開始当初は「子供達」の括りにいたが、進行する毎に「子供たちのお兄さん」的立場、どちらかというと大人の立場に移っており、ムーミンパパやママ大人達からも「スナフキンがいるから安心」と頼られている。原作の『ムーミン谷の夏祭り』では、森の子供達に「スナフキン小父さん」と呼ばれている。
: アニメーションでは姉弟の関係にも伯母甥の関係にも触れられていない。ミムラとは他人行儀な会話しかなされておらず、『楽しいムーミン一家』の過去編といってもよい劇場版『ムーミン谷の彗星』では、スナフキンとミイはその映画で初めて対面している。そのため、アニメーション『楽しいムーミン一家』のエピソードでは、ミイからデートに誘われている(スナフキンは、驚いて橋から川に落ち、浅瀬のはずの川に潜ってしまう。その後、ミイはすっかり気にしていないようだが、スナフキンはミイを見かけると逃げようとする素振りも見せている)。
: 日本名のスナフキンは英語名のSnufkinからの音訳で英語の嗅ぎタバコ(スナッフ;snuff)から由来するものである。原作のスウェーデン語スヌスムムリクは、「スヌス」=「かぎタバコ」、「ムムリク」は親しみを込めて言う「あいつ、野郎」という意味で、「嗅ぎタバコ野郎」といった意味。ところが名の由来に反し、原作、コミックス、『ムーミン』においては嗅ぎタバコは嗅がず、パイプで葉タバコの微塵切り(いわゆる刻みタバコ)に火を着けて、タバコの煙を吸っている。原作やコミックスでは『ムーミン谷の夏祭り』で、森の子供たちにプレゼントされたラズベリー風味のタバコを日曜日に吸うことにしていた。『楽しいムーミン一家』ではムーミンパパ同様キャラクターデザインまではパイプをくわえているが、アニメーションではタバコを吸っていない。ところが、今回トーベ・ヤンソン生誕100周年を記念し、フィンランドで製作された長編アニメーションでは、タバコ用のパイプをくわえている。
: スナフキンの自由気ままな生き方は、原作読者・アニメーション視聴者の子供たちはもとより、日々の生活に疲れた一部の大人たちの郷愁・憧れも誘い、「スナフキン的な生き方」は理想の生活、スローライフの代名詞としても用いられることもある。そのため公式サイトで行われたキャラクター投票で、一位をとるほどの人気キャラクターであった。文芸誌『ダ・ヴィンチ』の2005年12月号では、巻頭数十ページにわたってスナフキン一人の特集が組まれた。
: 一人称は原作・『楽しいムーミン一家』では「ぼく」、『ムーミン』では「俺」、「おいら」、「ぼく」、「私」。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ムーミンの登場人物」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 List of Moomin characters 」があります。



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