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スペックル・イメージング : ウィキペディア日本語版
スペックル・イメージング
スペックル・イメージング (英:Speckle imaging、別名 video astronomy ) は、一般にシフト・アンド・アッド法 (別名「イメージ・スタッキング法」; image stacking) または スペックル干渉法 (speckle interferometry) を用いる高分解能の天体撮像技術を指す用語である。この技術は地上設置天体望遠鏡の分解能を劇的に改善する。
== 原理 ==
この技術の原理は、目標天体を非常に短い時間の露光により撮像し、大気のゆらぎによるシーイングと呼ばれる現象を除去する処理を行なうというものである。この技術の利用により数多くの発見が成されており、これには例えば同じ口径の望遠鏡では単一星にしか見えない数千の二重星の発見や、恒星の黒点様の現象の初めての撮像が含まれる。
これらの技術は現在でも広く利用されており、とりわけ相対的に明るいターゲットの撮影において良く用いられている。
理論的には、望遠鏡の分解能の限界は、フラウンホーファー回折のため、主鏡の口径の関数となる。
これにより、遠方にある天体のイメージはエアリーディスクとして知られる小さなスポットにまで広がることになる。
この限界より小さな距離しか離れていない天体のグループは、単一の天体に見えることになる。
大口径の望遠鏡ほどエアリーディスクを小さくできるので、大口径の望遠鏡は、大きな主鏡で暗い天体からの光をより多く集めるだけではなく、小さな天体の撮像も可能であることになる。
一方、暗い天体を撮影する場合は、赤道儀などの自動追尾機構を用いて、天体を長時間に渡って追尾しながら長時間露光を行う必要があるが、その際に、大気のランダムな性質がエアリーディスクの単一のスポットを、撮像面でランダムにぶれさせるというという現象 (これがシーイングである) のために、単一の点状の天体はエアリーディスクよりもずっと大きなスポットとして撮影されることになり、分解能は著しく劣化することになる。
典型的なシーイングでの、大口径の主鏡 (機械的な限界よりは十分小さいものとする) の実用的な分解能の限界は、シーイングパラメーター r0 (長時間露光する場合、主鏡の直径をこれより大きくしても、シーイングのために分解能が改善できなくなる限界の直径) に等しい直径の主鏡の分解能と同じになるが、これは何と直径 20cm の主鏡を十分良いコンディションで用いた場合に相当するに過ぎない。
スペックル干渉法と補償光学の導入がこの限界を取り除く道を提供するまで、長年に渡って、望遠鏡の性能はこの現象により制限されてきた。
スペックル・イメージングは画像処理技術を用いてオリジナルのイメージを再構成する。
この技術の核心は、アメリカ合衆国の天文学者であるデイヴィッド・L・フリード (:en:David L. Fried) によって 1966年に発見された。これは、実質的に大気が「凍って」動かないと見なせるほど、非常に短い露光で撮影するものである

赤外線イメージにおいては、露光時間は 100ms のオーダーであるが、可視光線領域においては 10ms 程度まで下げられる。この程度あるいはそれより短いタイムスケールのイメージでは、大気の運動は分解能を低下させる現象を生ずるには遅すぎるので、画像として記録されるスペックル (speckle ; 斑点) は大気を通したシーイングの、その瞬間のスナップショットである。
つまり、シーイングによって長時間露光での天体の分解能が劣化する原因は、瞬間的に生じる天体画像のぼやけにあるわけではなく、撮像面における天体の像が時間とともにランダムに動き回ることにあるということである。従って、短時間露光を行えば原理的にシーイングによるぼやけを排除できるはずであるが、暗い天体を短時間露光する場合は、撮像面の1画素 (あるいは写真乾板であれば 1つの感光結晶) が捉えられる光子は1個かあるいは0個の場合もあり得るため、1枚の画像では対象はノイズの中に埋没することになる (だからこそ長時間露光を行う必要があるわけである)。そこで、長時間露光でたくさんの光子を捕捉する代わりに、短時間露光の画像を多数用意して、それらを微妙に位置をずらせながら相関が大きくなるように合成すれば(もちろん現在ではコンピューター画像処理によるが、原理的には手作業でも可能である)、ノイズはその統計的な性質により相殺され、天体のみのエアリーディスクに近い大きさのスポットが得られるはずである。
ただし、天体が暗すぎる場合は、相関解析すら難しい程度の光しか捕らえられないという場合もあり得る。1970年代初期に行なわれた初期におけるこの技術の利用は、限られたスケールで写真技術によって成されたが、写真フィルムは入射光のわずか 7% を捕捉するに過ぎないため、最も明るい天体のみがこの方法で処理された。しかし、入射光の 70% 以上を捕捉可能なCCDイメージセンサの天文学への導入が、実用的応用におけるバーの高さを大幅に引き下げ、現在ではこの技術は明るい天体 (例えば恒星と恒星系) に対して広く用いられている。
多種のスペックル・イメージングが重複した名前を持っているという事実は、アマチュア天文家が既存のスペックル・イメージング技術を改造し新しい名前を与えていることが大きな原因である。
もっと最近では、この技術の産業分野での応用法が開発されている。これはレーザー (そのスムーズな波面は遠方の星からの光を極めて良く近似している) を物体の表面に照射して、それによって得られたスペックル・パターンを処理することにより、材料の欠陥の詳細なイメージを得ることができるというものである。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「スペックル・イメージング」の詳細全文を読む



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